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ワカレのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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朝、8時に目が覚めた。

友人は横でまだ寝息を立てている。
明るくなったばかりの外の景色は朝霞みがかかっていた。
気温はそれほど低くなく、いい天気になりそうだ。

朝食の用意ができ、呼ばれた。
元日と同じトッククだが、
三度のメシより雑煮が好きな(?)わが身としては、
うれしいことこの上ない。
友人は寝ぼけ眼で汁をすすっている。

朝食が終わると家族に促され、
モギョクタン(沐浴譚)に出向くことになった。

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「こんな田舎町、やることもないから、
 風呂にでも入って、くつろいできなさい」

アボジが友人の尻を叩き、運転手を命じている。
末っ子の彼は家の中での立場は弱い。

「道教えてくれるなら、おれが運転してもいいよ。
 国際免許証あるし」

そういうと彼は慌てて首を振り、
祖父を車に乗せ、自分でハンドルを握った。

午前中というのに風呂屋は混んでいた。
旧正月の元日、二日は祝日扱い、
人によっては三ヶ日しっかり休みを取る人もいるようで、
休日の朝をモギョクタンでリラックスする、という人も多いようだ。

家に戻って、くつろぐ間もなく、友人が慌しく動き回っている。

「そろそろ帰りの仕度です」

ソウルへ戻るバスの時間は12:00ちょうど。
そろそろこの家を発たなければならない時間が迫っていた。

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「2泊は早いね」

「そう思ってくれたならウレシイですよ」

こちらのつぶやきに友人が相槌を打つ。

玄関を出る際、友人の手には土産がたくさん持たされていた。
帰省客そのものの荷物の量で、
久しぶりの里帰りとなると、
オモニが作った作り置きのオカズやハルモニ手製のキムチ、
新しいシャツやお菓子が袋から顔を出していた。

「いいですねえ~。おかあさんの愛情タップリですねえ」

「年に1度か2度しか帰らないから、
 たくさん持たされるんですよ」

ヒヤカシに照れてながら言い訳していた。

「わざわざ遠い所まで来てくれてありがとう。
 またよかったら遊びに来なさい。いつでも歓迎するよ」

玄関先でおじいさんが優しい言葉をかけてくれた。

「かならずまた来ますので、お元気でいらしてください。
 また日本語でお話しを聞かせてくださいね」

そう別れを告げ、熱い握手を交わした。

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「夏になるとこの辺りはもっとキレイで川や湖も気持ちがいいぞ。
 今度は夏に来なさい」

バス・ターミナルまでクルマで送りながら、アボジが語る。
朴訥な語り口調に本当に夏に来てみたくなっていた。

出発時間前になり、アボジに繰り返し、滞在のお礼を告げた。

「お前は独り暮らしなんだろう?
 さみしくなったら、いつでも来い。
 日本は遠いかもしれないが、いつ来てもいいぞ」

熱い言葉をもらい、バスに乗り込んだ。


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センゾのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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午後になり、墓参りに出かけた。

正月の恒例行事で、友人の両親が墓参をするらしい。
それを聞き、運転手役の友人に一緒に行ってもいいか、と尋ねると、
アボジが来い来い、と快く声をかけてくれた。

クルマに乗って、近所の山へ。

農家でもある祖父の持ち山に墓はあった。
果実園の一角に唐突に土饅頭があり、
その前に墓標が立っている。
「安東權氏」とある。

カンタンに雑草を取り、花を添える。
拝礼の後、供物、清酒を辺りに撒き散らす。
日本のように墓前に供えるのでなく、
野山に返すのがこちら式らしい。

供養が終わると墓前でアボジが語りはじめた。

こちらが韓国語がわからないのも意にも介さず、
とくとくと語りだした。

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「ここは曽祖父、曾祖母の墓です」

合間に友人が訳を入れてくれる。
「安東權氏」は「安東地方に封じられた權氏」というわけなのだが、
込み入った歴史の話になると、
英語が得意でない彼にはすっかり苦痛になったようで、
メンドクサ~イ、という言葉とともに訳をやめてしまった。

そんなことはおかまいなしにアボジは語りかけてくる。

祖先がここに赴任した流れ、当時のこの辺りの状況、
子供の頃、自分がこの辺りでどうやって暮らしていたかなど、
わからなくなると、友人に訳してもらい、
漢字を書いてもらい、なんとか理解しながら、話しを聞いた。

もっとも90%は理解できていなかったと思うが、
一所懸命はアボジの話しに胸を打たれた。

ちなみに「一所懸命」は、
その昔、侍が自分の土地=一所を懸命に守ったところから生まれた四字漢語。
それが「いっしょうけんめい」と誤って発音されたものが常用化し、
「一生懸命」と誤認された言葉でもある。

この土地では自分の土地に墓所を作るのが通例らしい。

気がつくと隣の敷地のなかにも土饅頭があり、
花が添えられていた。

自分が育った土地、耕した土地に葬られるのはきっと幸せなことだろう。

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日が落ち、帰宅すると夕食の支度が整っていた。
おせち料理こそないが、
作り置きされたオカズが並ぶあたり、日本に似ている。

「食べたら親戚の家に遊びに行きますが、
 一緒に行きますか?」

「昼間、伺った家?」

「いや、別のところです。オモニの姉の家です」

食後の腹ごなし、とばかりにシンとした夜道をみなで歩く。
夜はもちろん、昼でさえノイズがない農村が心を、
寒空の澄んだ空気が身体を浄化してくれるようで、
そぞろ歩きが心地よかった。

室内に招き入れられるとオンドルが効いていて、
外気で冷やされた身体に心地よかった。

特になにをするわけでもなく、
お茶やコーヒーを飲み、お菓子を食べ、
女性陣はおしゃべりに熱を入れていた。

男性陣はすぐにおしゃべりに飽き、
誰が言い出したかわからないが、
「スゴロク」が引っ張り出されてきた。

4つの木の棒を振るヤツで、
占いにも使われるやつだが、
スゴロクのルールはサッパリわからず、
言われたままにサイを振るだけだった。

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「勝った人には賞金出すよ~」

アボジだか、姉のダンナだかがそういうと、
女性陣も群がってきて、ただの遊びは急に熱を帯びた。
う~ん、みんな賭けごと、好きなのね~。

そのうちにマッコリは出てくるわ、
ツマミは出てるくるわで、すっかりみんな盛り上がっている。

長い元日の夜が更ける。


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トックのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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ひとしきり談笑した後、みなが出かける用意をはじめた。

「これから親戚の家にアイサツに行きますが、
 一緒に行きますか?」

「おれが行ってメイワクじゃないなら、
 ご一緒させてもらうけど?」

「問題ないですよ、一緒に行きましょう」

上着を羽織り、表に出る。
冬の盛りだが、それほど寒さは厳しくなく、
談笑しながら歩いていると心地いい。

チョゴリ(韓服)に身を包んだアボジ(父)が凛々しい。

「カッコイイですねえ」

友人がソレを訳して伝えると父親は照れくさそうに笑った。

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父親の従兄弟の家にも同じように供物が並んでいた。
乾物や菓子、並べられているものは似ていたが、
ここでも果物が鮮やかな彩りを添えていた。

「日本人が訪れてもかまわないか確認して」と友人をせっついた。

孫の友人なので「石もて追われる」ことはなかろうが、
正月のめでたい場に日本人が同席するのを好まない人もいるかもしれない。

「日本人の友人です。日本で記者をしている人で、
 正月の写真を撮りたいようです」

「イルボン・・・キジャ・・・
 (「ライター」という言葉は韓国は「キジャ(記者)」に置き換えられる)」
という言葉が親戚の口々に乗っていた。

拒まれても仕方ない、と思っていたが、
こちらの不安を無視するかのように手を取られ、奥に導かれた。

「イルボン? よく来たね~ ここに座りなさい」

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導かれるまま、呆然としていると座布団を差し出された。
反日感情などカケラもなく、
「孫の友人」として迎えてくれたようで、
それに応えるように大声で告げた。

「日本カラキマシタ。写真トラセテクダサイ」

イキオイのせいか、韓国語のヘタさのせいかわからないが、
親戚一同に笑いが起こった。
写真は撮らないで~、などとおどけてみせるオジサンもいて、
正月の珍客は歓迎されたようだ。

この家でも同じように拝礼が行われ、
家長の振る舞いに合わせ、みなが礼を繰り返した。

ひとしきりの儀礼の後、湯気の立ったトッククが供される。

白濁の鶏出汁、家によって雑煮の味が違うように、
トッククもその家の味付けがあるようだ。

「オイシイデス、ホント、コレオイシイ」

カタコトでそう告げると、
笑顔とともにおかわりはどうだ? と手が差し出された。

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トロリとした出し汁がうまくて、
食べたいのはやまやまだったが、
祖父の家で一杯、ここで一杯を平らげているのですでに満腹だ。

「この味をニホンに持って帰りたいけど、どうだろう?」
と冗談交じりのお礼を友人に訳してもらうと、
この家のお母さんは手を振って照れながら台所に引っ込んでしまった。
オヤジたちのからかいに声だけで反撃していた。

家庭の味は美味しくて、楽しい。


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カゾクのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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男性だけが食卓を囲んでいた。

この家だけの習慣かもしれないが、
お酒を飲むこともなく、
ボツリボツリと語らいながら、
雑煮スタイルのトッククをいただいた。

煮干し出汁のさっぱりした味がおいしい。

女性陣はキッチンから出てくることはなく、
食卓につくこともなく、裏方に徹している。

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子供の頃の正月の風景が重なった。

うちの父親は男5・女1の6人兄弟。
毎年、持ち回りで兄弟誰かの家で集まるのが正月の慣わしだった。
ご馳走やお菓子が並ぶこともさることながら、
5人の伯父、伯母からお年玉をもらえるので、
従兄弟、つまりは子供たちにとっては一大イベントだった。

うちの親戚には「女は正月の台所に入るな」という不門律があり、
家では三ヶ日、父親が雑煮が作っていた。
そのルールはこの親戚の集いにも当てはまり、
男どもが当たり前のように台所の切り盛りをした。

男だけで台所仕事をすることを不思議に思い、
子供心から理由を聞いた記憶がある。
関東地方の風習かもしれないが、
「女性は不浄のもので正月に台所に入ってはいけない」というのがベースだったらしい。
「女性が土俵に上がれない」というのに近いのかもしれない。

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そのせいか父を含め、伯父・叔父の兄弟は男ながら、みな料理ができた。

モチロン「正月の賄いをする」といっても、
お節料理はあらかじめ母親たちが作ったものだし、
夜ご飯は普通に母親が作っていた気がするが。

なにせ男連中はひとしきり盛り上がった後には、
そそくさと麻雀卓を囲むのが「慣わし」だった。
そのために集まっているんじゃないか、という兄弟連中だった。

自分は従兄弟と遊ぶことよりも、
その大人の世界を後ろから見ているのが好きだった。

小学生ながら麻雀のルールは覚えてしまっていた。
「アガったら小遣いやるぞ」と、
トイレに立つ自分の代わりを務めるようにいい、
戻ってきても後ろから眺めている洒落たオジがいたことも思い出した。

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儒教の影響が強い韓国でも、
正月の台所に独特の習慣があるのかもしれないが、
それは定かではなかったし、
結論はどうでもよかった。

韓国でソルラルの家庭を直に感じられていること自体が嬉しかった。


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ギシキのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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朝から雲ひとつなくキレイに晴れ渡った。

2月3日、旧正月の元日は底抜けにいい天気。
ソウルから6時間下っただけあって、
気温もかなり和らいでいて、
外の空気を大きく吸い込むと心地がいい。

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8時頃、礼前の用意が整い、正月の儀式が施された。

横に長いテーブルの上に様々な菓子や乾物、果物が並べられている。
後ろの古い屏風がどことなく家族の歴史を物語っている。
お供物の前に神妙な面持ちで男どもが並んでいる。
知らない顔が増えているのは近所の親戚だろうか。

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若い者が手際よく銀の器に入ったトックを運ぶ。
きっと数にも意味があるのだろうが、10に及ぶ器が並んでいる。
酒を供え、すべての用意が整ったようだ。

礼服を着込んだ家の長であるハラボジ(祖父)が祝礼をはじめる。

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3度のバウを繰り返し、
それに合わせたように、
神妙な面持ちで並ぶ一族の男たちがバウを重ねる。
特に詔を上げるでもなく、粛々と無言の業が続いていく。

写真を撮ることすらはばかられたが、
ハラボジの「かまいませんよ」の言葉で、呪縛は解かれた。

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地方都市だけかもしれないが、
この国にはいまもこういう習慣、風習が残っているのだなあ、
とひとり感じ入っていた。
旧正月すら忘れ去ってしまった日本には
生憎、こういう習慣はカケラもなく、
日本らしい風習もどこかに棚上げされたままだ。

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どことなく神妙で、
どことなく敬虔で、
どことなく礼節があり、
親戚付き合いや家族ぐるみといった言葉はメンドくささを覚えるが、
一年に一度、こういう瞬間があってもいいのかもしれない。

先祖が料理や供物を食する時間をおき、その後、みなでトッククに箸をつけた。


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フロヤのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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ハラボジは久しぶりの日本語のおしゃべりを楽しんでくれていた。

日本を訪れた際の思い出話は尽きないが、
友人の兄が「モギョクタンに行こう」と促してきた。

彼のクルマにおじいさんを乗せ、
3人で近くの『沐浴譚(モギョクタン)』に向かう。

韓国の家には浴槽もあるのだが、
ほとんどシャワーしか使わず、
週に何度かチムチルバンやモギョクタンに出かける向きが多いらしい。

地方都市がそうなのか、
都市部でもそうなのかわからないが、
日本人のように毎日風呂を沸かして、
湯に浸かるという習慣はないようだ。

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モギョクタンは巨大なダムが作り上げたハプチョン湖の近くにあった。

この旅で『モギョクタン』という単語を初めて聞き、
行く前に友人に問いただした。

「もぎょくたんッテ、ナニデスカ?」

「う~ん、チムチルバンの小さいやつと思ってください」

こちらが韓国語を解さないので、
英語でのコミュニケーションなのだが、
友人はあまり英語が得意ではない。
ただし留学経験がある中国語は流暢だ。

「沐、浴、譚、でモギョクタンと書きます。
 タンは『湯』かな?」

「おお~、沐浴場かあ。風呂屋ね」

特に境界線があるわけではなく、
食堂もあり、ジムもあり、といった複合風呂施設が『チムチルバン』、
いわゆる「スーパー銭湯」が『モギョクタン』のようで、
モギョクタンといえどサウナが併設されていたりして、ここも例外ではなかった。
http://www.seoulnavi.com/special/5031444 モギョクタン(ソウルナビ)

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3人で湯に浸かっていると、
みながおじいさんに声をかけていく。
顔見知りがタオル一丁でアイサツを交わしていくのだ。

ハラボジはこの辺ではちょっとした「翁」なのですね。

風呂から上がり、家に戻ると夕食が用意されていて、
ハラボジ(祖父)、アボジ(父)、ヒョン(兄)、友人と食卓を囲む。
普通のご飯だが、家族に混ざり、食卓を囲むのは楽しい。

考えてみたら、家庭のご飯もモギョクタンも来韓初の経験だ。

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満腹すると長距離バスの疲れもあったのだろう、
友人は早々に眠りについている。
暖かいオンドルに吸い込まれるようにこちらも眠りに埋没した。

旧正月の大晦日、長い一日が暮れた。






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ムカシのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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クルマは15分ほどでおじいさん宅に到着した。

迎えに来てくれたのは友人の兄、
釜山で仕事をする彼も旧正月のために、
前日にクルマを飛ばしてハプチョンにやって来たらしい。

家の前には素朴な田畑が広がり、
それは長野か山梨の山間部を思わせるような情景だった。

「ごらんの通り、なにもないところでしょ?」

クルマを降りた友人がおどけて言う。

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「日本の田舎みたいだよ。風景がすごく似ている」

「う~ん、生憎、僕には日本の田舎がワカラナイデス」

トランクから荷物を降ろし、祖父の家に足を入れた。

彼の祖母、父、母、姉、そして小さな姪っ子がリビングでお出迎え。
顔を合わせ、アイサツを交わす。

「おじいさんへアイサツしなくては」と友人に告げる。

「チョット待ってクダサイ。
 先に僕だけバウしなくてはなりませんから」

とそそくさとおじいさんの部屋に進んでいった。
遠目に眺めていると、
口上を述べ、ヒザを屈し手をつく正式な挨拶を祖父にしている。
http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/TE/TE_JA_7_5.jsp?cid=940462 (挨拶方法)

「おれもやったほうがいいのか?」と思っていると、

「やあ、よく来ましたね」

いきなり日本語で声をかけられた。
そう、おじいさんは日本語が話せるのだ。

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「まま、こちらに座りなさい。
 あなたは挨拶はいいから、座りなさい」

オンドルで暖められた床に座るよう促された。

「この度はお招きいただいてありがとうございます」

「遠かったでしょう。楽にしなさいね。
 お茶でも飲みなさい」

「ありがとうございます」

カンタンなアイサツの後、
ドコに住んでいるとか、なんの仕事をしているとか、
自己紹介交じりに話しを交わす。
こちらが持参した日本のソバやお菓子を差し出すと、
それを皮切りに若い時、日本に勉強しに行った話や印象的な地名や料理の話など、
古き思い出が語られた。

「ナ、ナンのハナシですか?」

孫でもある友人は二人が話す横で、
父親と一緒に正月用の生栗の皮むきをしていた。
無言で皮むきしていた彼がボソっと口を開いたのだ。

「いや、おじいさんが日本でなにを勉強したかとか、
 どこの場所が思い出に残っているとか。
 昔のことなのに、記憶力がすごいね」

「実は家族みんな、
 ハラボジ(祖父)が日本語を話すところをはじめてみるんですよ。
 『日本語を話せる』とは聞いていたんですが、
 ハプチョンの田舎じゃ、日本語を話す機会なんかないので、
 誰も見たことがなかったんです」

「そうなの? すごいよ、カタコトじゃなくてちゃんとした日本語だよ」

「みたいですね。
 会話の感じでわかりました。内容は全然わからないけど。
 そうそう、ハラボジは92歳です」

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「え! 92? ホント?
 すごい記憶力だな。
 日本の地名とか料理とか、
 都心の駅名とか、スラスラ出てくるぜ」

「それよりも家族みんながハラボジの日本語に驚いてますよ」

奥のキッチンでは正月用の料理が次々に出来上がってきていた。


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キセイのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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バスはソウルを出る間もなく、渋滞につかまった。

おお、帰省ラッシュ。
みながソウルを脱出していくのですねえ。

11:20、走り出して約3時間、
ようやくトイレ・ストップにサービス・エリアに立ち寄った。

サービス・エリア自体は日本のそれと似ていて、
たいしておもしろみはないのだが、
軒先に並ぶ出店の売り物を見ると、
やはり韓国なのだなあ、という思いに浸る。

串揚げのカムジャ(ジャガイモ)やトッポギ、
串焼きのテジ(豚肉)がおいしそうな香りを上げ、
単調な高速道路ドライブに飽きた人を引きつけていた。

その向こうでバスが出ていっては入り、
入ってきては出てを繰り返している。
そのため、トイレはラッシュのように混んでいた。
このあたり、ひと昔前の日本と同じなのだ。

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手間はかけたくないけど、背中にきびを何とかしたい!


14:30、やはり3時間走り続け、バスはハプチョンに到着した。

ターミナル、というにはあまりにも質素な建物が街のサイズを映し出している。
チケット売りの窓口はひとつしかなく、
ソウルから遥か遠くへ来たことを教えてくれていた。

「いま、電話して迎えに来てもらいますね」

「え?そうなの? 悪いじゃん」

「いや、迎えに来てもらわないと、
 おじいさんの家までの交通手段がないんです。
 迎えを待つ間にナニか食べに行きましょうか」

「できたらコーヒーが飲みたいね」

そういってターミナルの裏手にある町へ繰り出した。

平日の午後だというのに、店は閉まっていた。
シャッターには張り紙などがしてあり、
どうやらすでに「旧正月の休み」に入っているようだ。

交差点の先にニギヤカに人を集めているキムパプ屋があり、
ノーチョイスでそこに入ることになった。

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「おれ、あんまり腹減ってないけど」

「え~、そうですか? 僕は腹ペコです」

「バスでキムパプ(のり巻き)食べたジャン。
 おれはなんか飲みたいなあ」

「あれは朝ゴハンですよ~。
 ダイジョウブですよ、町のキムパプ屋さんはなんでもアリますから」

「へえ、シクタン(食堂)みたいだね。
 でもたぶんコーヒーはインスタントだよな」

「そうですね、そんな感じです。
 えっと、ラッポギ(トッポギのラーメン入り版)食べようかな。
 コーヒー、頼みます?」

「ホントに食うのか。う~ん、じゃあ、キムパプでいいや」

そう話していたテーブルのすぐ後ろ手で、
オバチャンが手際よくキムパプを作っていた。
ソレを見て、キムパプの食べ比べも楽しいかと思ったのだ。

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「ありがとね、バスの手配。おかげで順調に来れたね」

「いや、ダメデス。2+2の座席は気に入りません。
 ネットでは2+1だったのに。
 帰りのバスの座席も確認しなきゃ」

ラッポギを頬張りながら、彼はまだこだわっていた。




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ザセキのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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この季節、ソウルの朝は7時でもまだ暗い。

2月2日7:20、ホステルをチェックアウト。
スタッフでもあり、友人でもある彼とともに、
地下鉄で「南部バスターミナル」を目指す。

旧正月に合わせ、慶尚南道の北部にあるハプチョン(陜川)に向かうのだ。

暗い中、ひと気の少ない地下鉄に乗り、
「南部バスターミナル」には8時過ぎに到着した。

ターミナル・ビルの中に足を進めると、
建物の中は人が溢れていて、唐突に驚かされた。
地下鉄と打って変わって、
ムムム、という感じの人の多さなのだ。

3日に「元日」に合わせて、今日がピークなのだろうか。
チケット売り場には長い列ができている。
わさわさとしたターミナルの喧騒に面食らってしまった。


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“GROUPON(グルーポン)”なれあれもこれも割引に!

驚いてはいたものの、
あらかじめチケット手配ができていることを聞かされていたので、
朝から行列に並ばならなくて済むことだけでもかなり幸せモードだ。
なにせ列はウンザリするほど長く、人は次々に繰り出してくる。

韓国では長距離バスもネットで予約できるらしく、
そちらの手配は彼がしっかりやってくれていた。
彼がカウンターでチケットを引き換えてもらう間、
朝食のパンと飲みものを買いに回った。

ターミナル内であるにも関わらず、
売店はフードコート並みに充実していて、
バスに乗り込む人たちが次から次に買い物をこなしていく。
イキオイのよさに気後れしかけたが、
身を乗り出し、キンパプ(のり巻き)と水を購入。

会計するレジの横ではオジサンが熱いオデンを頬張っていた。

帰省の人たちのパワーに負けまいと、
湯気を上げているオデン(500w)をひと串手に取って、
オジサンに肩を並べてかじりついた。
脇のオネエチャンはオデンの汁をカップに入れ、
ノンキな表情でそれを飲んでいる。

う~ん、韓国のソウルの旧正月の帰省の人の朝食の勢いの混雑の・・・
とにかくそんな中にいるのだなあ、
とオデンを串からかじり取りながら、
シミジミ思ってみたりした。

「ヤラれましたよ!」

チケットを手にした彼が戻ってくるなり、苦い顔をしていた。

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「どしたの?」

「ネットで見たとき、バスの座席は2+1だったんです。
 ハプチョンまで6時間もかかるので、
 1個の席をタテに2つ押さえたんですよ。
 そのほうがお互いゆったりできると思って」

「ほう」

「でもバスが2+2になったんです。ヤラれました」

「帰省で混んでいるから増席して、バス変えたんじゃない?」

「だと思います。ヤラれました」

「おれ、デカイしね。
 6時間、隣だぜ? 耐えられる?」

「それはいいんですけど、せっかくのネット予約だったのに、悪くて」

「8:30のバスには乗れるんでしょ? 気にしないでよ。
 立ってろ、といわれたらコロスけど、
 座っていけるならそのうち着くさ」

海外の長距離バスというやつは思いのほか、
座席幅が広く、席数少なめで、ゆったり乗れるものが多い。
先日の全州行きのシャトルバス、タイの長距離バス(ただしVIPバス)、
スペイン、ポルトガル・・・
ネット上でブッキングした時はその手のゆったりスタイルのバスだったのだろう。

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やって来たバスは11列x4席のやつだ。
いわゆる古いタイプの観光バスですなあ。

行き席を確認して、乗り込んでみると車内はびっちり満席。

やはり帰省に合わせ、席数の多いバスに差し替えられたのだろう。
腰を落ち着けてからも隣の彼はまだ悔いている。

笑って彼をなだめながら、買ってきたキムパプの包みを開けた。




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旧正月のハプチョンなう from Korea [South Korea (陜川)]

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陜川(ハプチョン)という町にいます。

友人に連れられ、彼の祖父の家を訪ねることに。
長距離バスを駆って、ソウルを出発しましたが、
2日は連休初日ということもあり、酷い渋滞。
4時間半の道のりに6時間半かかるという有り様、
押し込められたバスの中ですっかりケツがなくなった模様。

正月の前日、ということで到着のこの日はなにもなし。

ご家族のみなさんは正月の料理作りに忙しそう。
やることがないわたしたちは、
夕方から沐浴湯(モギョクタン=銭湯)に行き、
固まった体を湯船でほぐし、
戻ってきて、早い夕食をいただくと、
ありえないぐらい早い時間に寝入ってしまいました。
http://www.seoulnavi.com/special/5031444 沐浴湯
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ハプチョン自体は山形か福島あたりの山間部の田舎町という感じで、
あたりは冬の田園風景が広がってます。
ソウルから4時間南下してきただけあり、
(もう1,5時間下ると釜山)
気温も緩んで、カラダもかなり楽。
山あいなので、驚くほど空気がきれいです。

さて3日、正月本番、旧正月の元日。

朝早くから、供物や食事の用意がされ、
先祖を祀る標の前にさまざまな料理や山海の珍味、
色鮮やかな果物が並べられます。
できたばかりのトックク(お餅入りスープ)が添えられると、
拝礼儀式のはじまりです。
http://japanese.seoul.go.kr/cav/do/restaurant_view.php?idx=8751 トックク
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礼服を召した家長(友人の家では祖父)が清酒を注ぎ、
バウ(地に座した拝礼)を行うと、
一族がこれに倣い、拝礼を行います。

不思議なことにこの儀礼は男性だけで行うんですね。

供物にハシとスッカラを備え、まずは祖先に食してもらい、
しばらくの後、みなで食事を行います。

湯気が上がるトッククを中心に、
お供えの肉や魚、用意された料理が並べられ、
にぎやかな食卓をみなで囲みます。

食事が終わると親戚の方や近所の人が尋ねてきて、
新年の挨拶を交わすようです。

友人の家ではおじいさんとおとうさんがチマを着てました。

年配の方のチマはなかなかかっこいい。
友人に着ないのか、と尋ねたところ、
持ってない、というつれないお答え。
まあ、日本でも着物を着る人は限られてますし、
持っている人は友人にはおりませぬ。

午後は親戚へのあいさつ回りに同行させてもらったり、
先祖の墓参りに一緒に行かせてもらったり、
地方で大事に行われているソルラルの風習をあれこれ覗かせてもらいました。

バスの渋滞はきつかったけど、
足を向けた甲斐あり、って感じです。
http://www.konest.com/data/korean_life_detail.html?no=437 名節
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今日、4日。
3連休のラスト(実際は土日が続き、5連休)、
ソウルへの高速が渋滞していないことを祈りつつ、
12:00のバスでソウルへ戻ります。

明日、11時のフライトで日本へ。

楽しい時間は過ぎるのが早いぜ。




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