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ワカレのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]

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朝、8時に目が覚めた。

友人は横でまだ寝息を立てている。
明るくなったばかりの外の景色は朝霞みがかかっていた。
気温はそれほど低くなく、いい天気になりそうだ。

朝食の用意ができ、呼ばれた。
元日と同じトッククだが、
三度のメシより雑煮が好きな(?)わが身としては、
うれしいことこの上ない。
友人は寝ぼけ眼で汁をすすっている。

朝食が終わると家族に促され、
モギョクタン(沐浴譚)に出向くことになった。

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「こんな田舎町、やることもないから、
 風呂にでも入って、くつろいできなさい」

アボジが友人の尻を叩き、運転手を命じている。
末っ子の彼は家の中での立場は弱い。

「道教えてくれるなら、おれが運転してもいいよ。
 国際免許証あるし」

そういうと彼は慌てて首を振り、
祖父を車に乗せ、自分でハンドルを握った。

午前中というのに風呂屋は混んでいた。
旧正月の元日、二日は祝日扱い、
人によっては三ヶ日しっかり休みを取る人もいるようで、
休日の朝をモギョクタンでリラックスする、という人も多いようだ。

家に戻って、くつろぐ間もなく、友人が慌しく動き回っている。

「そろそろ帰りの仕度です」

ソウルへ戻るバスの時間は12:00ちょうど。
そろそろこの家を発たなければならない時間が迫っていた。

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「2泊は早いね」

「そう思ってくれたならウレシイですよ」

こちらのつぶやきに友人が相槌を打つ。

玄関を出る際、友人の手には土産がたくさん持たされていた。
帰省客そのものの荷物の量で、
久しぶりの里帰りとなると、
オモニが作った作り置きのオカズやハルモニ手製のキムチ、
新しいシャツやお菓子が袋から顔を出していた。

「いいですねえ~。おかあさんの愛情タップリですねえ」

「年に1度か2度しか帰らないから、
 たくさん持たされるんですよ」

ヒヤカシに照れてながら言い訳していた。

「わざわざ遠い所まで来てくれてありがとう。
 またよかったら遊びに来なさい。いつでも歓迎するよ」

玄関先でおじいさんが優しい言葉をかけてくれた。

「かならずまた来ますので、お元気でいらしてください。
 また日本語でお話しを聞かせてくださいね」

そう別れを告げ、熱い握手を交わした。

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「夏になるとこの辺りはもっとキレイで川や湖も気持ちがいいぞ。
 今度は夏に来なさい」

バス・ターミナルまでクルマで送りながら、アボジが語る。
朴訥な語り口調に本当に夏に来てみたくなっていた。

出発時間前になり、アボジに繰り返し、滞在のお礼を告げた。

「お前は独り暮らしなんだろう?
 さみしくなったら、いつでも来い。
 日本は遠いかもしれないが、いつ来てもいいぞ」

熱い言葉をもらい、バスに乗り込んだ。


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