トックのハナシ @Hapcheon [South Korea (陜川)]
ひとしきり談笑した後、みなが出かける用意をはじめた。
「これから親戚の家にアイサツに行きますが、
一緒に行きますか?」
「おれが行ってメイワクじゃないなら、
ご一緒させてもらうけど?」
「問題ないですよ、一緒に行きましょう」
上着を羽織り、表に出る。
冬の盛りだが、それほど寒さは厳しくなく、
談笑しながら歩いていると心地いい。
チョゴリ(韓服)に身を包んだアボジ(父)が凛々しい。
「カッコイイですねえ」
友人がソレを訳して伝えると父親は照れくさそうに笑った。
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父親の従兄弟の家にも同じように供物が並んでいた。
乾物や菓子、並べられているものは似ていたが、
ここでも果物が鮮やかな彩りを添えていた。
「日本人が訪れてもかまわないか確認して」と友人をせっついた。
孫の友人なので「石もて追われる」ことはなかろうが、
正月のめでたい場に日本人が同席するのを好まない人もいるかもしれない。
「日本人の友人です。日本で記者をしている人で、
正月の写真を撮りたいようです」
「イルボン・・・キジャ・・・
(「ライター」という言葉は韓国は「キジャ(記者)」に置き換えられる)」
という言葉が親戚の口々に乗っていた。
拒まれても仕方ない、と思っていたが、
こちらの不安を無視するかのように手を取られ、奥に導かれた。
「イルボン? よく来たね~ ここに座りなさい」
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導かれるまま、呆然としていると座布団を差し出された。
反日感情などカケラもなく、
「孫の友人」として迎えてくれたようで、
それに応えるように大声で告げた。
「日本カラキマシタ。写真トラセテクダサイ」
イキオイのせいか、韓国語のヘタさのせいかわからないが、
親戚一同に笑いが起こった。
写真は撮らないで~、などとおどけてみせるオジサンもいて、
正月の珍客は歓迎されたようだ。
この家でも同じように拝礼が行われ、
家長の振る舞いに合わせ、みなが礼を繰り返した。
ひとしきりの儀礼の後、湯気の立ったトッククが供される。
白濁の鶏出汁、家によって雑煮の味が違うように、
トッククもその家の味付けがあるようだ。
「オイシイデス、ホント、コレオイシイ」
カタコトでそう告げると、
笑顔とともにおかわりはどうだ? と手が差し出された。
トロリとした出し汁がうまくて、
食べたいのはやまやまだったが、
祖父の家で一杯、ここで一杯を平らげているのですでに満腹だ。
「この味をニホンに持って帰りたいけど、どうだろう?」
と冗談交じりのお礼を友人に訳してもらうと、
この家のお母さんは手を振って照れながら台所に引っ込んでしまった。
オヤジたちのからかいに声だけで反撃していた。
家庭の味は美味しくて、楽しい。
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