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告別 @Hat-yai [Thailand (Hat-yai)]

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翌朝、目が覚めると熱は引いていた。

昨日までのカラダの重さはスッカリ消えて、
ハジャイの3日目の朝はいつもの体調に戻っていた。

「生きてた?」

友人に電話をすると笑って聞いてきた。

「朝食食べに行こうよ」

呼びかけに応え、朝食を食べに町へ出た。
いつもの食欲でお粥を流し込む。

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「なんだったんだ、昨日のは?」

「あはは、友達に会って安心したんじゃない?」

「オトコの顔見て? その趣味はないぜ」

「コッチもオンナがいいよ。
しかしどこも案内できなかったね」

「いや、それはいいんだけど、
なんかメイワクかけに来たみたいで悪かったね」

「いいのさ、コッチは。コーヒー飲みに行くかい?」

朝食を済ませ、冷房の効いたコーヒー・ショップでくつろぐと、
チェックアウトの時間が迫っていた。

ここハジャイの町では本当になにもせず、
ただ食事して、話をしただけだ。

彼の知り合いの旅行会社に頼み、
12時過ぎにピックアップに来てもらう。

専用バンは300B、日本円で約900円。
ハジャイの町は4輪のトゥクトゥクもやけに高いし、
空港送迎のタクシーやバンも高い。

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友人いわく、
「この町は産業も観光もないから、観光客の交通費で稼いでる。
でも年々高騰していて、バカみたいな金額を取るんだ。
それは地元の人でも同じだけ取られるよ。
今はマレーシアから遊びに来る人も多いけど、
バンコクよりも高い額なので、そのうち観光客は来なくなる。
みんな、自分で自分の首を絞めているような有様だよ」という。

観光資源もない田舎町の窮状か。

20分ほどでなにもない空港にまた戻ってきた。
知り合い、ということだけあり、
バンの運転手は入口まで横付けしてくれ、荷物も運んでくれた。

かなり気を使ってくれたので、
タバコ銭程度のチップを渡そうとしたが、遠慮してきた。

「それなら、ぜひまた来てください」と泣かせるセリフ。

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ハジャイの空港は田舎らしく2階建て。
そのままゲートから駐機場を歩き、飛行機に乗り込むのかと思ったら、
一応、2階から乗り込むスタイル。
小さな空港の外、駐機場を歩くのってけっこう好きなんですけどね。

さすがに田舎の空港なので、ラウンジはありませんでしたねえ。

ゲート・オープンの時間になってもエア・アジアの機材が目の前にない。
駐機場はガランとしている。
機材がいないから遅れるのかな、と思っていたら、
ハデな赤い機材が目の前に着陸し、到着客を吐き出すと、
アッという間に自分たちが乗り込む番がやって来た。

バジェット・エアは本当にバスのようにこうして飛び回っているのだなあ。


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ポットショットの銃弾 @Hat-yai [Thailand (Hat-yai)]

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気がついたら外は暗くなっていた。

友人たちは気を利かせて、昼ごはんは誘わなかったらしい。
それでもさすがに寝続けているコチラを心配して、
夕食前に電話をかけてきた。

「ご飯食べに行くよ」

「いらないや、ごめん」

「ダイジョブか? ご飯、テイクアウトしてこようか?」

「いや、ご飯はいいや。
フルーツ、屋台で売っていたパイナップル買ってきてよ。
2つばかり。あと水をオネガイ」

「わかったわかった。
じゃあ、置いて食事に行くけど、死なないように」

「ああ、気をつけるよ」

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下らない英語の冗談を交わし、受話器を置いてまた眠りに着いた。
うとうとした状態が続き、それをドアのノックが蹴散らした。

「買ってきたよ、パイナップル」

「え?もう?ご飯行かなかったの?」

「なにいってんだよ、あれから二時間経ってるよ」

時計はすでに9時に近かった。

「ああ、眠りこけてたのか」

「これ飲みなよ。風邪薬だから」

そういうと水とカプセル状の薬を差し出してきた。

「さんきゅ。これじゃあ、ダウンしにきたみたいだね」

「いいんだよ、それで。
おれたちがいるからダウンしてもダイジョウブさ」

「あはは、確かにそうだ。
しかしエア・アジアで飛んできて、寝込みにきたのか、おれは」

「顔を合わせて、話ができただけでもいいじゃないか」

「マヌケだよなあ」

パイナップルを口に放り込みながら、たわいもないグチをつぶやく。

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「夜中に腹が減るんじゃない?
なんかテイクアウトしてこようか?」

「ダイジョウブ、パイナップルはもうひとつあるし、
ホテルのルームサービスもあるから」

「ならいいけど」

「観光も街歩きもできないね、予定が変わってしまって悪いね」

「いいんだよ、観光はアナタのためだから。
地元を観光する物好きはいないだろ?
それにさほど案内する場所なんかないし、ははははは」

旅先で体調を崩すなんていつ以来だろう。
ツアコン時代は皆無といっていいぐらい、
あるとすればペルー・クスコの2度目の訪問で
みごと、高山病にヤラレたぐらいか。

あとはバックパック背負って、
アンダルシアを1週間、
その後、モロッコを3週間かけて巡ったときかな。

モロッコを離れ、マドリッドへ戻る帰路、
タンジェからフェリーでスペイン・アルへシラスの港に到着した。
宿を探そうと歩き出すと、
スイッチが入ったかのように全身を寒気が覆った。
スペインは寒いのか、と思ったが、そうではなく、
悪寒が走っていたのだ。

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値段交渉や部屋の確認などはどうでもよくなり、
最初の宿で「風邪薬か熱の薬あるか」と聞くと、
即答で「ある」と答えてくれたので、その宿に決めた。、

カタコトのスペイン語で、
「熱」「熱い」「カラダ」「クスリ」と伝えると、
部屋でぶっ倒れ、その宿で2泊するハメに陥った。
目を覚ますと枕元に薬と水と果物が置いてあり、
それを口にして2日間寝続けた。
宿代も払っていない客、
素性もわからない客にその宿は優しかった。

タイの片田舎で熱を出しながらそんなことを思い出していた。


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冷たい銃声 @Hat-yai [Thailand (Hat-yai)]

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朝のスコールが窓を叩いていた。

雨を理由に二度寝を決め込む。
理由があると二度寝の罪悪感も薄れ、幸せの極みだ。

雨が上がった頃合いに電話が鳴った。

「朝飯食いに行くよ~」

中華系の彼らの食欲に関しては、時間も天候も関係はない。

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歩いて近場のおかゆの店へ。
店はかなり混んでいた。
お粥、バクテ(骨肉茶)、お茶を頼み、喰らいつく。
一人100B、朝食にしてはちょっと奮発。

この朝食でバーツを吐き出したので、街の銀行へ。

小さな町の小さな通りには、
この街特有の4輪のトゥクトゥクが行き来している。
4輪のその姿はどこかで見覚えがあるぞ。
遺跡で有名なスコータイの町だったか、
あるいはミャンマー国境越えで行ったメーソットだったかな。

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小さな町の小さな商店街を歩く。
目ぼしいものはなく、友人の買い物に付き合いながらのお散歩タイム。
空はどんよりしていて、いつでもスコールがきそうな気配だ。

「降り出す前に戻ろう」

コーヒーと水を買い込み、ホテルに戻った。
部屋ではやけにエアコンが寒く感じられた。
朝食を摂り、歩いたおかげでカラダが暖まったはずなのに、
適温のエアコンを寒く感じる。
こちとら「エアコン・ラブ」一筋なのにちょっとおかしい。

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どうやら熱があるらしい。

エアコンの温度を上げても寒さが引かない。
出かける予定を断り、少し横になってみた。
う~ん、寒気がやってきたぞ。

旅先で病気? めずらしいな、おれ。


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灰色の嵐 @Hat-yai [Thailand (Hat-yai)]

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夕食までは友人の部屋で語り合い、旧交を温めた。

町なかはバンコクより、確実に暑い。
5度ぐらいは違うだろうか。
南方特有の空気がさらに濃密になった気がする。

夕食はシーフード・レストランへ。

好きな魚を選び、頼んだ調理法で仕上げてもらう。
このあたりは中華系はお手のもの、
店の人と丁々発止、
この日、オススメのもの、
安くて鮮度がいいものを馴れた様子で決めていく。

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「何か食べたいものある?」

「カイランか、空芯菜」

「なんだよお、もっといいもの頼めよう」

「どうせいいものはアンタが頼んでくれているでしょう?
だから旅で不足している野菜なの」

「あはは、お見通しか」

そういうと目の前に積まれた空芯菜を選び、
炒め方を店員に伝えた。

こういうスタイルの店は日本には少ない。
メニューがなければお手上げ、という人が多いだろう。
しかも写真入りの。

食べることが大好きな民族にしては、
料理に大してイマジネーションがなさ過ぎる。
文字だけのメニューだと文句をいう輩は多いし、
店もアレコレ細かい注文をつける音を好まない。
既製品を頼み、写真通りのものが出てくることを好むようだ。
料理はコピーじゃないのに。

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中華系の知り合いがいるとこの手の注文はお手のもの。
食いっぱぐれることはない。
この友達いわく
「アンタはなんでも食べるから、気兼ねなく注文できるし、
おいしく食べるから楽しい」そうだ。
あるいはホメ言葉には聞こえないかもしれない。

彼は以前、同じ中華系の仲間で旅行に行ったことがあり、
その中の一人に食べ物の好みのキツイのがいて、
旅行中、苦労のし通しだったらしい。
アレダメ、コレダメ、で旅行の最後には、
「マクドナルドへ行け!」と言い放ったそうだ。
なので、一応、前言は褒め言葉と受け取ることにしている。

ガルーパの蒸したもの、ボイルしたシャコ、チリ・クラブ・・・
日本では目玉が飛び出るような金額の海鮮を3人で頬張った。
殻や骨がテーブルに山のように積まれていく。

しかし新発見は「ココナツ・シェイク」だった。
スムージー状態のココナツ・ジュースが絶品なのだ。
基本、ココナツはさしておいしくないもの、
と現地では捉えられていて、、
もっぱら水分補給に適しているとか、
女性が美容のために中の実を食べるとか、
その程度の理由で食べられるものなのだ。

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ところがこのシェイクは香りがよくて驚いた。

友人が当たり前のように頼んでいた。
「ここはこいつがうまいんだ」という。
一口飲ませてもらったら、その芳香にやられた。
ココナツがこんなにおいしいとは。

男3人が酒も飲まず、こいつを6杯やっつけた。
気にいったものは徹底的、ちょっとアホかもしれない。

豪華な夕食は一人1500円ほど、幸せすぎてバチが当たるかもしれない。


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約束の地 @Hat-yai [Thailand (Hat-yai)]

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昼のフライトを目指して、早めにホテルをチェックアウトした。

清算を済ませると、ベルボーイが荷物を運んでくれる。
格安ホテルなのに親切なサービス、
自分でも運べたが、その気持ちがうれしかった。
フロントも手際よく好感だ。
なんにも増して、ツアー客・団体客の利用がなかったのが、
一番心地よかったかも。

出発前の団体客がロビーを占拠していると、
それだけでホテルの雰囲気は台無しだ。
アメリカ人だろうが、中国人だろうが、日本人だろうが、
オリエンタルホテルだろうが、プラザホテルだろうが、
活けてある生花は萎れるし、
レストランのコーヒーはたちまちぬるくなる。

かつてはその団体客を連れて歩いていたのだから、
なんとも罪深いものです。

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「タクシー、いりますか?」

「いや、ロットゥーで空港まで行くんだ」

「帰国ですか? 気をつけて」

「いや、友達に逢いにハジャイへ行くんだ。
またこのホテルに戻ってくるかもしれない」

「待ってますよ、また来てください」

「うん、気に入ったから、また来るつもりだよ」

最後まで気持ちのいいホテルだった。
値段で計れないいい宿もあるのだ。

空港まで40B。
昨日、掘り出したロットゥー乗り場。
乗り込んだ車内はホトンドが空港で働く人たちらしく、
制服やスーツ姿のローカルばかりだった。

そう、東南アジアの人って、
家から制服でそのまま出かけるのです。
かつて働いていたシンガポールの旅行会社も、
みな制服で来てました。
合理的というか、そのあたりは気にしないのですねえ~。

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エアアジアを駆って、一路、ハジャイへ。

ハジャイの空港は田舎の空港丸出しで、
到着ロビーを出ると恐ろしいほどなにもなく、
目の前には駐車場が広がるだけだった。

あまりになにもないため、途方に暮れていると、
到着客すらいなくなっていた。

ローカル・バスの乗り場もなく、
時折、出発客を運んできたタクシーが通り抜けていくだけ。
地元の人たちのあとに続こうにも、
みな迎えが来たり、駐車場から車を出したりで、
まったくアテにならない状態だ。

マレーシアの国境に近いところまで南下してきたので、
暑さは割り増しになっていた。
ところが空はこちらの気分を表すかのようにドンヨリしていて、
今にもスコールが来そうな気配を忍ばせていた。

やむなく到着ロビーに戻り、職員に町への行き方を尋ねた。

「バスはないよ、タクシーだけ」

「え? タクシーしかないの?」

「あ、駐車場のほうにロットゥー乗り場があるけど、
いっぱいになると出ちゃうから、まだいるかなあ」

おいおい、それを先にいってくれよ。
到着客乗せて、全部いっちゃったんじゃないのか。
慌てて、教えてくれた駐車場へ向かうと、
ミニバンが止まっていたので、声をかけた。
運転手らしきオトコはスライド・ドアを開け、中に促してくれた。

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「一人80Bだよ」

高いなあ、バンコクの倍かよ?
フッかけられているかとも疑ったが、
続けてやってきたオヤジさんも80Bを払っていた。
なんだか、奇妙な田舎町だなあ、
とクルマに揺られながら思っていると、
20分たらずでバンはホテルの前に止まった。

フロントから待ち合わせの友人に電話を入れた。


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