誘拐 @Maeklong [Thailand (Maeklong)]
メークロンの町は小さく、あっという間に歩きつくしてしまった。
市場をはずれ、近くにあった寺院にも足を伸ばしたが、
観光地ではないため、それほど見るものが乱立しているわけではない。
歩いてみてわかったのだが、
メークロンの市場は元来、
大きな屋根に覆われた部分に限られていたのだろう。
それが拡大し、店を出す場所を求めて、
市場に沿うように走る線路上にも膨張していったようだ。
こちらの人らしいアバウトさで、
「線路の脇にスペースがあるわさ」ということで、
線路脇にも店を出すのが通例になったのだろう。
市場から線路を越えた向こう側には大きな通りがあり、
そこには商店が軒を連ねているので、
あるいはその間を通る線路脇を埋めるかのように、
上手に利用するようになったのかもしれない。
ちょっとした隙間があったので、店出しちゃうもんね、
というきわめてアジア的な感じで展開した風景だったのです。
市場も歩きつくしてしまい、帰りを決めた。
だが帰りのロトゥー乗り場を探さなくては。
来るときは唐突に町で一番大きなロータリーで下ろされただけなので、
帰りの乗り場もわからないし、
町歩きでそれに関する案内を見つけたわけでもなかった。
乗り物のことは運転手に聞け、という法則はないが、
トゥクトゥク乗り場にいた運転手に声をかけた。
「ロトゥ~、バンコ~ク?」
「アッチだろ?」
彼は事情がよくわからないらしく、トラックやバンが止まっているほうを指差した。
その方向に歩き、たむろしていたバンの運転手に声をかけた。
「バンコク行き? クルンテープは?」
「え?」
「バンコックだよ」
「バンコク? おい、バンコック行きどこだ?」
え~っと、こちらが聞いているんですが。
どうやらここのロトゥーはメークロン近郊のローカル用らしく、
運転手同士で、確かめ合っている。
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「こっちこいよ、ついて来い」
答えを見つけたらしい一人の運転手が案内役を買ってくれた。
「ここじゃないんだ。たぶん、アッチだ」
角を曲がると歩道には、バイクタクシーの運転手が座って休憩していたl。
二言三言話しかけるとバイクタクシーの連中が口々に次の交差点を指差している。
彼も正確にはわからないらしく、彼らに聞いてくれたようだ。
「ああ、あれか。あの角の向こう側だ」
「行ってみるよ。ありがとう、コップンカー、あ、コップンクラップか」
両手を胸の前で合わせ、丁寧に礼をいった。
「いいんだ、気をつけて。サ~ヨナラ~」
こちらの礼に合わせて、日本語が彼の口から飛び出した。
「オウ、サヨナ~ラ~」
「ジャパン、サヨナリ~」
バイクタクシーのドライバーが笑いながら、はやしたてる。
言えてないのもいるし。
なぜか、大勢に見送られ、ニギヤカな声を後ろに、
ロトゥー乗り場に向かった。
旅先では案内板を見るよりも地図を広げるよりも、やっぱり「人」だ。
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