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スクール・デイズ @Maeklong [Thailand (Maeklong)]

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電車が去ると、市場はいつもの姿を取り戻していた。

隠れてしまった線路に別れを告げ、先ほどの屋台に戻る。
調理姿を撮らせてもらおうと狙っていたのだが、
発車時刻が来てしまい、チャンスを逃したのだ。

「写真撮らせてね」

次々入る注文をさばき、
鉄板の上では手際よく調理が続いていた。

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「また、来たのかい?」

「料理を作っているところが撮りたくてね」

「こんな普通の料理なんか撮ってどうするのさ」

「あはは、ついでに作り方を覚えて、日本で作ってみるんだよ」

会話が成り立っていたかはわからないが、
「日本で作ってみる」というところは通じたらしく、
ヘンなことをいう日本人が可笑しかったのか、
店の人たちは大いに笑っていた。

熱くなった鉄板の上に多めの油を引き、
細かく刻んだニンニクとショウガを炒める。
牡蠣を中心にした魚介類を入れ、申し訳程度の野菜も。
さっと火を通したら、水で溶いた小麦粉を上からかけ、混ぜる。
生地状になった小麦粉の上から油を回し、張り付く前にかき混ぜる。
仕上げに刻んだショウガを炒め、絡めれば、それで完成だ。

「OK! これで日本で作れるよ」

一部始終を見終えた後、声を上げていうと、
店のみんながまた声を上げて、笑った。
信じてねえな?
「人は食べたことあるものは作れるはず」なんだよ。
どこかの著名人が記していたぜ。

あれ?
「食べたことがないものは作れない」だっけ?
だとしたら、全然違うな。

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笑っているみんなを尻目に、
店のオヤジサンだけは傍らにやってきて、
料理の説明をしてくれた。

「これがパッ・タイ、これがホイ・タッド、これがXXX」

タイ語がわからないので、ろくすぽ聞き取れない上に、
この地方の訛りも重なって、まったく耳に残らなかった。
それでもテイクアウト用に作られた料理や、
下ごしらえされた素材を一個一個指差して、
説明してくれる好意がうれしかった。

屋台のカンバンには店の名の横にオバチャンの写真があった。

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「この人は奥さん?」

「いや、おれのおかあさんだよ」

オヤジサンはカンバンのタイ語を指差す。

「『ホンばあちゃんのパッ・タイ屋』と書いてあるんだ」

どうやら「ばあちゃん直伝の味」の店というわけね。
それでお母さんの写真がカンバンにのっているらしい。

「ばあさんは天国だけどね、味は残っているのさ」

そういうと笑顔で空を指差した。


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