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悪党 @Bangkok [Thailand (Bangkok)]

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小さなコーヒーショップで生き返り、また歩きはじめた。

マーケットは巨大な屋根で覆われた部分に、
小さな店舗がひしめき、
その周辺を食べ物や飲み物などを扱う店が取り囲んでいる。

南側には食堂が連なるエリア、
デザートの露店などが連なるエリアが隣接していた。

年月を経るにしたがって、
店の数が増え、収まりきれなくなり、膨張したのだろう。
元気で、安全で、観光客に評判を得ているということかな。

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絨毯爆撃するかのように、ありとあらゆる通りをくまなく歩く。

画になるものを見つけては足を止め、
シャッターを押してはまた歩いた。

広い通りで声高に人を集めているコンビがいる。

担いでいた大きな風呂敷を広げると、
スポーツ・ブランドのシャツやジャージが無造作に広がった。

「ハンドレット・バーツ! 100B!!」

一人が叫び、客をさばいている。
もう一人は落ち着きなく、辺りを見回していた。
時折、見張りのオトコの指示で風呂敷を畳む用意をしては、
その手を戻し、また商売に戻っている。

「!」

コイツら。

彼らの素振りを見て、ピンときた。

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ニセモノ売りだな。

巡回してくる警察官の目を盗み、
広いスペースにモノを広げては、売りぬく。
ニセ・ブランドか、バッタものかは区別ができなかったが、
警官の姿を異常に気にしているところをみると、普通じゃない。

あるいはただの無許可販売なのかもしれないが、
100バーツで買えるブランド品はないわなあ。
このアタリがタイ、このアタリがバンコク。

のんきに品物を広げては、モノを確かめ、
サイズを探す観光客を尻目に彼らはひたすら落ち着きがない。
通りの角に警官に似た黒い服装が見えると、
たちまち風呂敷を閉じる素振りをみせる。
黒い姿が警官でないとわかると、また広げて商売を再開する。

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ホテルの部屋着に短パンでも、買ってみようかな、と、
サイズを探し、手にとってみた。
その途端、コンビは慌てて風呂敷を閉じた。

「これ!」

お金を払おうと声をかけたが、それを聞くでもなく、
彼らは風呂敷を担ぎ、逃げ出していた。
振り返ると通りの向こうで警官が巡回をはじめていた。

手元には短パンだけが残った。


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