失投 @Bangkok [Thailand (Bangkok)]
カメラ片手にズブズブと薄暗い路地に潜り込んでいる。
品揃え豊富なマーケットにいるというのに、
買い物への意欲がないとは、なんという不遜な観光客でしょう。
それでも店番の人は気さくにアイサツを交わしてくれる。
タイ語で「暑い」を意味する「ローン」に、
「とても」を意味する「マーク」をつけて語りかけると、
カメラ片手のヘンな外国人にも笑顔で答えてくれる。
「みていって~。安いよ~」
目が合うと店先から英語で呼び込みがかかる。
「ローン、ナー」
無視するのは忍びないので、
タイ語で「暑いね~」とやり返す。
この場合「ナー」は訛り、というかアジア風の音感。
「ローン、ローンナー」
店の人は汗ひとつかいていないが、
風通しの悪い屋根の下に連なる店に文句をいうように返してくる。
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「こんにちは、写真撮らせてね」
「おけ~、おけ~」
カタコトでもタイ語で語りかけると笑顔で答えてくれて、
店先のなんでもない品物をズーミングするヘンな観光客にもやさしい。
散らかった店先を整えたりしてくれるのが可笑しい。
雑貨や惣菜、乾物に土産物など、
手当たり次第に写真に収め、路地を歩いていると、
さすがに全身から汗がにじみ出てくる。
巨大な倉庫のような大きな屋根に覆われたマーケットは、
風の抜けがまったくなく、湿った暑い空気がずっと滞っているのだ。
日が高くなるにつれて、マーケットの蒸し風呂はどんどん温度を上げている。
途中、何度か遭難しそうになる。
持っていた水は空になり、
食料が底をつき、
体力が限界に近づき、
意識は遠のきはじめる。
たぶん、このままマーケットで屍と化すのであろう、と
遺書を書かなければ、と思いはじめたとき、
砂漠のオアシスに出会うことができた。
そのコーヒー・ショップはマーケット内で働く人が重用しているのだろう。
飾り気のないカウンターでは、
近所の店員さんが氷のたくさん入った飲み物を勢いよく飲み干しては去っていく。
仕事の合間に手際よく水分補給していくわけだ。
どうせならうまいコーヒーを飲みたかった。
小さな店だったので不安があったが、
この際、選んでいられないほど身体中は汗に覆われていた。
「ネスカフェ」のアイス・コーヒーでもいいや、とこの店に取り付いた。
「アンカー、アイス・コピー!」
「OK、1つ? ローンだろう?」
汗がにじむこちらの顔を見て、さぞや暑そうに思えたのだろう。
オヤジさんは無愛想ながら、耳慣れたタイ語で返してくれた。
「ローン、ローン」
カウンターにカメラバッグを置き、そう答えた。
こちらの声を気にするでもなく、オヤジさんはコーヒーを作りはじめている。
インスタントの即製アイス・コーヒーだろう、と高をくくっていたら、
オヤジさんは豆を詰め、エスプレッソ・マシンにそれをセットした。
「お?」
小さなカップに落されたエスプレッソを氷の入ったグラスに注ぐ。
そこに練乳をシコタマ入れる。
いわゆるアジアスタイルの「コピー」ですね。
「砂糖は?」
「砂糖はいらない」
こちらの人はさらにそこに砂糖を入れて、ズブズブの甘さで飲む。
アイス・コーヒー25B≒70円。
エスプレッソの香りが汗まみれの身体に染み渡った。
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nice!ご訪問
o(*^▽^*)o~アリガトデスー!!
東南アジアってコーヒーや紅茶が
めちゃくちゃ甘いって聞きました!
タイ語、興味ありますー(*^_^*)
by momotty (2010-04-06 15:26)
>momottyさん
ご訪問&コメントありがとうございます!
コーヒーに練乳入れるので、あま~いです。
でも暑い国だとそれがヤミツキになります!!
タイ語難しいです==
by delfin (2010-04-06 16:31)