Escape マッターホルンは土足厳禁─スイス [MailMagazine]
Escape マッターホルンは土足厳禁─スイス
イタリア、フランス、リヒテンシュタイン、ドイツ、オーストリアという国々に囲まれ、
中央にアルプスを抱く国・スイス。
ローマ帝国の時代から強固な隣国にさいなまされた影響を公用語に残している。
北部と中部では主にドイツ語(全人口の64%)、
西部ではフランス語(19%)、
南部ではイタリア語(8%)、
南東部のグラウビュンデン州の一部で使われるロマンシュ語(0.5%)と、
4つの言語が公用語となり、独自の母国語を持たない珍しい近代国家だ。
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19世紀、豊かになったヨーロッパの人々は「リゾート」という考えをもち始めた。
湖畔や山間部では飽き足らず、こともあろうに人を寄せ付けない険しさを秘めたアル
プスの山々にさえ、自分たちが憩う場所を求め始めたのだ。
鉄道をひき、トンネルを掘り、登山道を作り、山小屋を建て、
考えもつかない場所を「リゾート地」にしてしまった。
21世紀の私たちはその恩恵を甘受している。
ツェルマットの街はスイスの数あるリゾート地の中でももっともポピュラーな場所。
マッターホルンの玄関口はまさに土足厳禁、自動車は入れない。
隣町・テーシュに車を停め、電車を乗り継ぐ「パーク&ライド」方式、
街の中では電気自動車と馬車だけが行き来する。
環境保全は無駄なノイズも消し去り、騒音に鈍感だった自分に気づかせてくれる。
駅を降りるとマッターホルンの頂が出迎える。
ホルンの名のとおり、獣の角が街を見守るようだ。
「このテラスから眺めるマッターホルンは最高だろう?
朝や夕方には赤く色づいてね、それをお客さんに見せるのが楽しみさ。
食事が終わったからって、部屋にこもっちゃダメさ。こいつを見ないとね」
小さなテラスでホテルのオーナーが自慢気に話してくれた。
スキー場としても名を馳せるスネガへは地下ケーブルで約3分。
ヨーロッパで最も高い展望台クライン・マッターホルン(3,883m)へはロープウェイで約20分。
人気路線は3,130mのゴルナグラート展望台行きの登山電車、約40分で別世界へ誘ってくれる。
4,000mクラスの山々が老若男女を問わず、誰でも足を伸ばせる、信じられないぐらい
手軽なリゾートがここにはある。
夏のハイシーズンは、世界中からの観光客でいずれの車内もラッシュ並、
冬はスキー・クレイジーが肩を並べる混雑で、オフがないリゾートなのだ。
「あなたはどちらから?」
登山電車の車内で向いに座った男性に話し掛けた。
「ははは、私は地元の人間だよ、土産物屋のオヤジさ」
「これは失礼、車内にいる人はみんな観光客と思ってしまって」
「たしかに仕事で乗っている人は少ないよな、みんな観光客だ。
そういうアンタはどこからだい?」
「日本人ですよ。珍しくもないでしょう?」
「そうだな、でも英語を話す日本人は珍しいよ」
「日本人って、どういうイメージなんですか、スイスでは?」
「静かで礼儀正しいね、店をやっていても思うよ。
英語をしゃべらんのはどうにかならないのかネエ」
「なにも言わず店に入ってきて、見回して店を出て行くだろ?
初めは盗みに来たのかと思ったよ。次第にそうじゃないことはわかったけど。
話し掛けると目をそらすしネエ。初めは奇妙だったな」
「習慣ですね。英語を怖がっている人が多いのも事実です」
「日本人のお客さんは増えているからね、わたしらも日本語を学ばないといかんね。
アンタ、日本語を教えてくれるか、店の手伝いをしてくれないか?
うちには日本語のできるヤツがいないんでね」
「車内で就職口が見つかるとは思いませんでしたよ」
「就職っていったって、うちじゃ宿と飯ぐらいしか世話できんよ、
日本人の給料はこのあたりの山のように高いそうだからなあ」
土産屋のオヤジサンの高笑いが登山電車の車内に響いた。
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イタリア、フランス、リヒテンシュタイン、ドイツ、オーストリアという国々に囲まれ、
中央にアルプスを抱く国・スイス。
ローマ帝国の時代から強固な隣国にさいなまされた影響を公用語に残している。
北部と中部では主にドイツ語(全人口の64%)、
西部ではフランス語(19%)、
南部ではイタリア語(8%)、
南東部のグラウビュンデン州の一部で使われるロマンシュ語(0.5%)と、
4つの言語が公用語となり、独自の母国語を持たない珍しい近代国家だ。
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19世紀、豊かになったヨーロッパの人々は「リゾート」という考えをもち始めた。
湖畔や山間部では飽き足らず、こともあろうに人を寄せ付けない険しさを秘めたアル
プスの山々にさえ、自分たちが憩う場所を求め始めたのだ。
鉄道をひき、トンネルを掘り、登山道を作り、山小屋を建て、
考えもつかない場所を「リゾート地」にしてしまった。
21世紀の私たちはその恩恵を甘受している。
ツェルマットの街はスイスの数あるリゾート地の中でももっともポピュラーな場所。
マッターホルンの玄関口はまさに土足厳禁、自動車は入れない。
隣町・テーシュに車を停め、電車を乗り継ぐ「パーク&ライド」方式、
街の中では電気自動車と馬車だけが行き来する。
環境保全は無駄なノイズも消し去り、騒音に鈍感だった自分に気づかせてくれる。
駅を降りるとマッターホルンの頂が出迎える。
ホルンの名のとおり、獣の角が街を見守るようだ。
「このテラスから眺めるマッターホルンは最高だろう?
朝や夕方には赤く色づいてね、それをお客さんに見せるのが楽しみさ。
食事が終わったからって、部屋にこもっちゃダメさ。こいつを見ないとね」
小さなテラスでホテルのオーナーが自慢気に話してくれた。
スキー場としても名を馳せるスネガへは地下ケーブルで約3分。
ヨーロッパで最も高い展望台クライン・マッターホルン(3,883m)へはロープウェイで約20分。
人気路線は3,130mのゴルナグラート展望台行きの登山電車、約40分で別世界へ誘ってくれる。
4,000mクラスの山々が老若男女を問わず、誰でも足を伸ばせる、信じられないぐらい
手軽なリゾートがここにはある。
夏のハイシーズンは、世界中からの観光客でいずれの車内もラッシュ並、
冬はスキー・クレイジーが肩を並べる混雑で、オフがないリゾートなのだ。
「あなたはどちらから?」
登山電車の車内で向いに座った男性に話し掛けた。
「ははは、私は地元の人間だよ、土産物屋のオヤジさ」
「これは失礼、車内にいる人はみんな観光客と思ってしまって」
「たしかに仕事で乗っている人は少ないよな、みんな観光客だ。
そういうアンタはどこからだい?」
「日本人ですよ。珍しくもないでしょう?」
「そうだな、でも英語を話す日本人は珍しいよ」
「日本人って、どういうイメージなんですか、スイスでは?」
「静かで礼儀正しいね、店をやっていても思うよ。
英語をしゃべらんのはどうにかならないのかネエ」
「なにも言わず店に入ってきて、見回して店を出て行くだろ?
初めは盗みに来たのかと思ったよ。次第にそうじゃないことはわかったけど。
話し掛けると目をそらすしネエ。初めは奇妙だったな」
「習慣ですね。英語を怖がっている人が多いのも事実です」
「日本人のお客さんは増えているからね、わたしらも日本語を学ばないといかんね。
アンタ、日本語を教えてくれるか、店の手伝いをしてくれないか?
うちには日本語のできるヤツがいないんでね」
「車内で就職口が見つかるとは思いませんでしたよ」
「就職っていったって、うちじゃ宿と飯ぐらいしか世話できんよ、
日本人の給料はこのあたりの山のように高いそうだからなあ」
土産屋のオヤジサンの高笑いが登山電車の車内に響いた。
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ツートンカラーの山羊たちの行進が可愛い!
先導しているのはペーターとヨーゼフ?
by echo (2008-06-16 01:38)
ロッテンマイヤーさんでした(嘘
実際はコドモが先導してました~。
観光シーズンだけの催しらしく、
夕刻、カウベルの音とともに、ツェルマットのメインストリートをうねり歩いていきます。
by delfin (2008-06-16 22:32)