Carefree Bite @Bangkok [Thailand (Bangkok)]
案の定、雨は上がっていた。
だだっ広いスーパーやホームセンターを歩き回り、
たいした買い物もしないまま、
外に出るとスコールは止んでいた。
東南アジアのスコールは天気予報などで
「シャワー」と形容されるように単発だ。
もちろんダラダラと一日降る雨もあるが、
そいつは雨季の「雨」だし、雨天の「雨」だ。
突然、激しく振り出すスコールは待っていればやり過ごせる。
地元の人は傘など差さずに、
店や食堂の軒先で腕組みなどしながら、
シャワーが終わるのを待つ。
スコールに洗われた街をあてもなく歩いた。
10月といえどタイはジットリと暑いが、
汗がまとわりついて、歩くのもウンザリというわけではない。
立ち寄る店で汗を止め、
スイカ・ジュースでカラダを冷やす、といった程度の暑さだ。
写真を撮って歩くにはさほどきつくないのだが、
街なかでいいシーンに出会うことがなかなかムズカシイ。
屋台の香ばしいニオイが小腹を刺激した。
網に並んだフランクフルトが炭火で焼かれていた。
「いくらですか?」
「ひとつ10バーツよ」
稚拙なタイ語で問うとオバサンは笑顔で返してくれた。
指を一本立てて、ひとつ欲しいことを伝える。
「持って行くの? 食べていくの?」
「あ、ここで食べます」
こうなるとタイ語での会話は不可能で身振り手振りが100%。
地面を指差すことで、ここで食べていくことが伝わる。
オバサンは焼き立てのフランクの串を摘み、まな板に乗せると、
空いている手で小さなビニールを取り出した。
日本では夜店で金魚を入れるあの小袋だ。
「あ~、あ~あ」
と声を上げるとナイフを持った手を止め、こちらを伺っている。
「そのままください、そのまま」
普通は串をはずし、食べやすく切り分け、袋に入れてくれるらしい。
それをもらった客は金魚袋をブラ下げ、
竹串でつつき、食べながら歩ける、という寸法なのだ。
金魚袋はジュースや豆乳、果物から焼きそばまで対応する万能選手。
はじめは違和感を感じるが、慣れてしまえば、
「合理的」の冠を謙譲したくなるスグレモノだ。
うまそうなフランクにそのままかぶりつきたかったので、
フランクの串を指し、声を上げると察してくれた。
「オケ~、オケ~。でも熱いわよ」
そのまま齧るなんて変な客、と思われたかもしれない。
なにせ切って袋に入れてもらったほうがよっぽど食べやすいのだ。
お金を払い、摘んた串を摘んで受け取り、
網から上がり立ての焼き立ての出来立てにかぶりついた。
「アッチ~、あつぅ」
食欲に負け、オバサンの警告を忘れ、
網の上で音を立てていたやつにかじりついたのだから、当然の報いだ。
「ローン、ローン(熱い、熱い)」
とタイ語で告げるとオバサンは笑っている。
店先で騒いでいるバカな客には笑うしかないだろう。
サイズから見てヘビー級のフランクフルトを想像していたら、
中には春雨状のものが入っていて、意外とアッサリしていた。
しかもその春雨が肉の脂や旨みを吸っているので、
ことさらにうまいのだ。
「アローイ、アローイ(おいしい、おいしい)」
再び、店先でアヤシイタイ語をつぶやく客にあきれたのか、
オバサンは今度は声を上げて、笑っている。
その声を聞いて、隣の屋台のオバチャンが、
なにやら冷やかしの声を上げ、
やっぱり笑っていた。
まったくもってお騒がせの観光客だ。
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