Carefree Trade @Bangkok [Thailand (Bangkok)]
ホテルのすぐそばで朝食を摂ることにした。
「チキン・ヌードル、バミーをドライで」
「は~い」
手際よく注文すると甘ったるい返事が返ってきた。
その甘さに驚いて、声の主を観ると、
こぎれいな服装をしたニイチャンで、
屋台にはそぐわないスタイルで働いている。
麺をゆでたり、テーブルを拭いたり、
馴れた手際で店を切り盛りしていた。
タイ、特にバンコクではこういうオニイチャンが普通にいる。
「第三の性」というやつで、
地下鉄で隣り合わせることもあるし、
コーヒー・ショップのスタッフがそうだったり、
当たり前にいるので、誰も気に止めない。
少し戸惑ってしまったのは、
そういう環境と無縁だったラオスから戻ってきたせいかもしれない。
「は~い、こちら~」
ていねいにドンブリを置き、
調味料をやさしくこちらに引き寄せてくれる。
おまけにハシやレンゲも取って、ドンブリに添えてくれた。
彼らはいつも細やかで優しいのだ。
ちなみに屋台で麺を注文するとき、
「麺の種類」「汁アリ、ナシ」などを告げなければならず、
馴れていないと幾分、戸惑うが、
スターバックスで注文することを考えたら、
さほど緊張はないかもしれない。
自分の好みを言えばいいだけだ、ただし現地の言葉で。
彼の後ろではエプロン姿のオバチャンが仕込みをしていた。
ふたりの会話に耳を傾けているとどうやら母子らしく、
母と娘(?)は当たり前のように会話を交わしている。
これがタイ・スタイルである。
「いくら?」
「40バーツよぉ」
「アローイ、コップンクラ(おいしかった、ありがとう)」
返された微笑みにたじろぎながらポケットからお金を出すと、
バーツに500キープ札が紛れていた。
ヴィエンチャンのスーパーかどこかで釣りにもらったやつで、
どうにも使い切れなかったお札だった。
「それ、どこのお金?」
オニイ(オネエ?)チャンが食いついた。
「ラオスだよ。そうだなあ、1,5バーツ(約5円)かな」
「へええ、ラオスのお金なんだぁ」
「え?見たことないの?」
後ろから覗いていたお母さんも頷いていた。
「はじめてぇ。もしラオスでヌードル食べたら、いくらなの?」
「少し物価が安いから10,000キープぐらいかな。
単位は大きいけど、30バーツぐらいだよ」
「へえええ、10,000!!一万!!」
どうやら単位の大きさが衝撃だったらしく、
母と娘(?)はキープ札を手にしてはしゃいでいる。
そんなことより、隣国の通貨を見たことがないことがオドロキだった。
タイと比べ、ラオスがあまりに遅れているため、
人の動きや通貨の流入がないのだろうか。
あるいはただ単にタイの人がラオスのことを知らないだけか。
「よかったら、それ、差し上げますよ。
それにホテルがあそこだから、
また来ると思うのでよろしくお願いします」
「じゃあ、このお札、店にでも貼っておこうかしら」
タイにはお金を張っておくとお金が集まるという風習がある。
わずかに余ったキープだが、思わぬ有効利用ができた。
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