inorganic paradise @Palau [Palau]
ランチで苦しくなった腹を抱え、バベルダオブ島一周に乗り出した。
この島には大きく外周を巡る道があるだけなので、
右回りだろうが左回りだろうが、
走り続けていれば元の場所に戻ってくる。
その長い一本道を島の真南側から反時計回りに走り出した。
時計の針でいうと6時の方向に空港がある。
夜にはそこから出発することになるので、レンタカー旅もここが終着。
場所の目星をつけておこうと、まずは空港に向けてクルマを走らせた。
空港へのエントランスを横目で確認し、通り抜けて行く。
周辺には背の高いビルもなく、大げさなカンバンもハデな広告もない。
国際空港らしさは微塵もなく、軍事施設の名残りであろうフェンスが、
無機質に連なっているだけだ。
そのフェンス越しに滑走路を眺めつつ、北へ向かった。
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対面通行の道路、すれ違うクルマが次第に少なくなっていく。
道路脇には店もなければ家もない。
それどころかアスファルト以外に人工物らしいものはなく、
時折、見通しのいい小高いところから見渡すと、
揃えたような高さの木が鬱蒼と茂っているだけだ。
先方を塞ぐクルマも遮る信号もないドライブは気分がいい。
無理して飛ばすこともないので、FMラジオのボリュームを上げ、
のんびりクルージングを楽しみ、東側にある新首都のマルキョクを目指した。
ところが10分程度走ったところで、トンだトラブルが巻き起こった。
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それまで心地よいロックを流していたラジオが沈黙してしまったのだ。
3~4局はあったであろうFM局のチャンネルを探ってみるが、
どのチャンネルも少し流れてはノイズに変わっていく。
最後にはどのチャンネルもノイズだけになり、
あれこれイジってみても砂嵐を連想させる音が出るだけだった。
そう、ラジオが圏外になってしまったのだ。
パラオの生活拠点はコロールが中心で、この島に住民は少ない。
そのため、20kmほど北に上がってくるとラジオの電波も届かないのだ。
鳴らなくなったカーステのスイッチを切ると、
開け放っている窓からの風切り音が騒々しくなる。
オープンカー乗りとしてはこちらのほうが自分のクルマに似た感じではあったが、
単調なロング・ドライブに音楽がないのは少々痛かった。
ラジオの電波がない、とは思わなかったぜい。
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バッグからMP3プレーヤーを引っ張り出してもよかったが、
それも煩わしくて、風の音に混じって、
自分の車の排気音だけが響くクルージングを続けた。
30分ほど走り、道路標示を見つけた交差点を右に折れる。
谷を下り、小高い丘に上がると、白亜の建物が異彩を放っていた。
Melekeok(マルキョク)にあるニュー・キャピタル、
2006年に遷都したばかりのパラオの首都だ。
http://www.palau-style.com/kankou/melekeok.html (マルキョク州)
ところがこの国の中心であるはずの場所だが、ひと気がない。
観光客はモチロン、働いていそうな人もいない。
国の主要建築物であるなら警備員がいて、公務員がいて、
出入りの業者でごった返していて、と思ったのだが、駐車場すらガラ空きだ。
昼間だからか?
なーんにもなくてだーれもいないのーんびりした空間がただ広がっていた。
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