迷える帰国日 @Seoul -完- [South Korea (Seoul)]
11月24日木曜日。
いつものようにうかうかしていると帰国日だ。
人と会い、人と集い、人と食を共にし、
日々過ごしているだけの滞在なので、
気を抜いている間に時は流れていく。
昨夜は思わぬ出会いに心を温められた。
まさかシャトルバスの車内で、
あんな風に話しをするなんて思いもよらなかった。
ホンの一瞬すれ違った異国の旅行者同士で。
国内も海外も旅行にはこの1枚
帰りにはいつものように帰国前日の買出しに出向くつもりだった。
宿のある新設洞の駅からほど近いE-martがお決まりの場所だが、
少し心に灯を入れられたような気分を抱え、
矛先を変えてみる気持ちになっていた。
地下鉄のルートを変え、往十里(ワンシムリ)へ。
ここには大きなショッピング・モールに併設して、
24時間営業のE-martがある。
このことは前々から知っていたのだが、
宿へは乗換えを要するので、なかなか足が及んでいなかった。
昨夜はイキオイを駆って、小さい冒険をする気分になっていた。
巨大なショッピングモールはクリスマスの飾り付けに彩られている。
街なかではボチボチと飾り付けをはじめたところで、
年末に向かい、ようやく腰を上げた、という感じだが、
このモールに限ってはキッチリ、バッチリ、ビッチリ、オッケイという構え。
用意周到ぶりがどことなく日本の繁華街を思わせた。
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週末でもないのにモールのなかはかなりの賑わいをみせている。
きらびやかなディスプレイが客を余計に浮き足立たせているようで、
店内にいる人たちは見な、紅潮した表情を見せているように思われた。
一人身の外国人旅行者はシコタマ気後れして、
青ざめながらそそくさとスーパーで食料品を買い込むと、
泣き叫びながら、なにかから逃げるように、地下鉄への階段を下りた。
いつものように正午のユナイテッド便に合わせ、
ラッシュが終わる9時前にチェックアウトを済ませて、
地下鉄に乗り込み、空港鉄道で仁川空港を目指すことにした。
「駅まで送りますよ」
部屋のカギを渡すと顔馴染みのスタッフがそう言う。
「いいよ、大げさだよ」
「いや、朝食を買いたいから。
一緒に買うから電車で食べてください」
「あはは、見送りは買い物のついでかよ。でも、朝食はいいよ。
空港のラウンジで好きなだけ食えるから、無駄遣いするなよ。
あ、でもコーヒーはほしいな、オゴるからカフェまで歩こう」
コーヒーを右手に、見送りの言葉を背中に、地下鉄への階段を下りた。
11月の毎月ソウル
―完―
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