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カンジャとの出会い @Seoul [South Korea (Seoul)]

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ケイタイの充電を済ませ、病院に向かった。

宿のスタッフと話しをしたところ、やはり「入院」は本物らしい。
だがイマイチ本筋がつかめない。

経緯を尋ねると、このところ、彼は風邪気味で熱っぽい、と嘆いていた。
数日前のとある晩、夜番の仕事もままならないほど、
熱がシンドくなり、仕事も他のスタッフに代わってもらった。
それまで朝になると熱は下がっていたので、
しっかり休めば朝には回復するものと思い、床に沈んだ。

ところが朝には熱がさらに酷くなり、
病院に行かざるを得ないような状況で、
町医者に行ったところ、
肝臓の数値が尋常じゃないぐらい上がっていたらしく、
すぐに大病院で精密検査を受けてください、と促されたらしい。

検査を済ませ、結果が出ると有無をいわさず、
「即入院」ということになったらしく、
仲間と顔を合わせる間もなく、連絡をとることもできず、
詳しい話は伝わることなく、病床に就いたようだ。
「肝臓だか腎臓だかが云々」程度がホステルでの情報だった。

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病院は東大門にほど近い「国立メディカルセンター」。

「東大門歴史文化公園駅」から乙支路を西へ歩くと
右手に大きな建物が見えた。

韓国の病院のシステムも面会時間もわからなかった。
おまけに病室の番号もわかっていない。

受付で入院患者である友人の名を告げると、
部屋番号を教えてくれた。

どうやら日本の病院のように、
面会時間やらなにやらのキビシイ規制はないようで、
病室にも勝手に行ってかまわない模様。

こういう場所では英語が通じないので、なんとも歯がゆく、
ブツギリの韓国語で訪ねながら、
メイワクにならないように病室に向かった。

「ほ~い」

6人部屋、左右に3つずつ並んだベッド、
左側の真ん中のベッドに座った彼がいた。
部屋のスタイルは日本のそれと変わりなく、
カード式のTVやテーブル、ベッド脇の棚なども見覚えのある作りだ。

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「わ!わ!来てくれたんですか?」

「見舞いに行くってメールでいったジャンか。
 それにしてもどうしたの?」

「肝臓です、レバーです、肝炎です」

「おいおい、肝炎かよ、若い身空で。で、何型肝炎?」

「よくワカラナイデスが、いまは心配ないです。
 疲れているところにヴァイルス(ウィルスの英語音)が入ったみたいで、
 それで熱が出ていたみたいです」

「まさか旧正月のハプチョンでおれの世話して疲れたのか?」

「違いますよ。ストレス性の疲労が溜まっていたみたいです。
 それがピークに至って発症したみたいです」

「『劇症』じゃなくてよかったね、冗談でなく、死んでたぜ」

「肝臓の数値、ガンマなんとかが2000とかだったらしいです。
 それで検査と同時に入院させられたんですよ。
 医者も驚くような数値で、
 数日遅かったら死んでいたかも、って言われました」

「だよね。もしそうなら、会うのは病院じゃなくて、葬式だったぜ。
 もっともそれを『会う』というか、わからないけど。
 こうして冗談が言える状態でよかったよ」

「自分でも驚いてますよ」

「食べ物とかは?制限ないの?」

「特にはないんですよ。しかももう元気だし。
 でも再検査の結果が出るまで安静なんですよ。
 そのせいで精神的に不安定なのか、食欲がまったくなくて」

その言葉通り、ハプチョン以来、
一ヶ月ぶりで会った彼の頬はすっかりこけていた。

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「そう思って、見舞い用に日本からプリンを持ってこようと思ったんだけどさ」

成田で起きた小事件を話そうとすると、
彼がおもむろにベッドを降りた。

「その話し、ゆっくり聞きたいです。
 下のコーヒーショップ行って、話ししましょうよ。
 少し運動しろって、医者に言われてますし、
 なにしろ病院というヤツは退屈でそれで病気になりそうです」

パジャマ姿で笑顔の彼とともに、エレベーターに向かった。




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