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Supper by Compulsion @Thailand [Thailand (Bangkok)]

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タイの入国手続きを済ませ、バスは走り出した。

ラオス出国で払わされたお金の不満も収まったのか、
車内の語らいはしだいに静かになっていった。
国境を越えたタイの田舎町は暗く、
車窓に映るものはない。

これからバンコクまで走り続けるのだろうな、
と思っていると、一時間ほどでバスは停車した。

ドアが開くと、ガイドがなにかを告げている。
おざなりな説明の上、つたない英語なので、
なにを言ったのか、さっぱりわからない。
乗客同士、言葉を交わし、
数少ない情報を想像で補いながら、それぞれバスを降りはじめた。

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ヴィエンチャンの安宿街。ここに限らず、夜はこの明るさだ

流れに合わせて降りていくと、
オープン・スペースのレストランがあった。

どうやら夕食が供されるらしく、
テーブルがある広いスペースの片隅に、
ブッフェ・スタイルのテーブルが置かれている。

チラ、と眺めるととてもイケてない炒飯と、
甘いだけの色のキツいジュース・サーバーがあるだけだった。

車内が真っ暗になる前に、と思い、
余ったお金で買い込んだ夜食を平らげてしまったので、
お腹は満たされている。
ただしそいつがシコタマ甘かったので、
ひたすらにコーヒーが欲しかった。

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メコン河沿いのナイト・マーケット。といっても10時には店じまいする

「コーヒー、ないの?」

「ないわ」

「注文しても出ないの?」

「ないわ」

やる気のないウェイトレスは予想通りの立派な答えを返してくれた。

夜行バスでシコタマ座らされるので、
この場はカラダをほぐしておきたくて、
水を片手に、店内をブラつく。

テラスの向こうには広い展望が開けていたが、
夜の田舎町には眺めるものどころか、灯りひとつない。

「やあ、食べないの?」

夕方、話を交わしたイスラエルの彼が皿を片手に席を探していた。

「ああ、おなか減ってないんだ。
 それに夕食がついているなんて知らなかったよ」

「みんな、そう言ってるよ。
 それにこのテイストじゃ、無理に食べることはないね」

そう言葉を交わすと同じテーブルに腰を下ろした。

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安宿街の寺の前で営業する屋台。仕事帰りの地元の人がくつろぐ
「時間調整で小一時間停まるみたいだよ」

「なるほどね。ドライバーも休憩か。
 しかしもうちょっと深い時間にして欲しいよな」

「一時間しか走ってないからね。
 たぶん契約とかあるんじゃないの?」

「あるいは親戚の家、とかね」

灯りもノイズもない田舎町、虫の音だけが響いていた。


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