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Alien of Market @Vientiane [Laos]

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市場では完全に異邦人だった。

ヴィエンチャンから距離を置く場所、
地元の人たちが日用品や食材を買いに来る場所。
そんな所に観光客が来るはずもなく、
デカイ一眼レフ片手の外国人は明らかに異様だ。

日差しが高くなりはじめる時間、
忙しい朝の時間を乗り越えた市場は弛緩していた。

熱い日差しはくまなく覆われた天幕で避け、
風が通る場所では小さな眠りが貪られていた。
さっきまで野菜や果物が並んでいた縁台は、
東南アジアでは国を問わず、かっこうの寝台だ。

安眠を妨げないように市場を巡る。

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市場は無秩序そうに見えて、肉、魚、野菜と住み分けがされている

居眠りなど何処吹く風、
仕込みに忙しく手を動かし、働くオバチャンに、
「写真撮らせてね」とカメラを示すと、
一瞬、表情を曇らせるが、
こちらが店先の野菜や売り物にピントを合わせはじめると、
一転して、からかいの言葉が飛ばしてくる。

「そんなの撮ってどうするのさあ」

ラオスの言葉はわからなかったが、
上げた声につられて笑う周りの人たちの表情が、
翻訳をしてくれるようだった。

「じゃあ、そっちを撮りましょうか?」

声に合わせてレンズを向けると、
たちまち手を振り、照れた表情になる。
からかいの声を上げた人とは別人のようで、
このあたりは東南アジアの人たち共通の性格。

お礼とはいえないが、
撮った果物や店先のものを小さなディスプレイで見せると、
「おお~」なんて声を上げてくれる。

次からは首からフォトフレームでもブラさげて、
撮った画を見せながら歩けば、
もっとウケが取れるかもしれない。

天幕で蒸し暑い市場と歩き回った熱が身体にこもっていた。

「カフェないかな? アイス・コピー屋さん」

魚屋のオバチャンに聞くと、無表情のまま、表通りを指差した。

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市場にはそこで働く人が利用する売店があるものだ。
ちょっとした飲みものや軽食を扱っていて、
冷たいコーヒーや水もそこで売られている。
大きな市場だとワゴンや手押し車で、
気の効いた移動販売をしてたりもする。

「コプチャ~イ」

無表情な顔に無表情で礼をいい、コーヒー屋を探す。
市場の外れから広い通りに出ると目の前が急に明るくなった。
市場内は日差しを避けているため、薄暗くもあるのだ。

「水、もらえます?」

店先に果物を並べ、奥に大きな冷蔵庫をしつらえた店に入った。

「水は冷えたやつ? コーラの冷えたのもあるわよ」

サラサラと滑らかな英語が返ってきて、驚かされた。
町を出た市場の売店で流暢な英語を聞くとは思っていなかったのだ。

「水でいいです、大きいやつの冷えたのを」

「2,000Kよ」

店先では子供が遊んでいた。
カメラ片手に飛び込んできた外国人を警戒しながら見ている。

「コニチハ~」

手を振り、ラオ語で声をかけるが表情は硬い。

「この子、人見知りしてるわね。
 あなた、どこの国の人?」

「日本です」

「へええ。さすがにこの市場で日本人は見かけないわね」

「でしょうね。フルーツ、うまそうだなあ」

店先の桶で洗われたブドウがやけに涼しげだった。

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瓶入りの清涼飲料水がクラシカルで懐かしい

「つまむ? おいしかったら買っていって」

「宿に持って帰りたいんですけど、バイクなんですよ。
 持って行く手立てがないんです」

「あら、残念。じゃあ、ここで食べなさいよ」

頬張ったブドウは甘く、かけてくれた言葉はそれ以上に甘かった。


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