ポットショットの銃弾 @Hat-yai [Thailand (Hat-yai)]
気がついたら外は暗くなっていた。
友人たちは気を利かせて、昼ごはんは誘わなかったらしい。
それでもさすがに寝続けているコチラを心配して、
夕食前に電話をかけてきた。
「ご飯食べに行くよ」
「いらないや、ごめん」
「ダイジョブか? ご飯、テイクアウトしてこようか?」
「いや、ご飯はいいや。
フルーツ、屋台で売っていたパイナップル買ってきてよ。
2つばかり。あと水をオネガイ」
「わかったわかった。
じゃあ、置いて食事に行くけど、死なないように」
「ああ、気をつけるよ」
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下らない英語の冗談を交わし、受話器を置いてまた眠りに着いた。
うとうとした状態が続き、それをドアのノックが蹴散らした。
「買ってきたよ、パイナップル」
「え?もう?ご飯行かなかったの?」
「なにいってんだよ、あれから二時間経ってるよ」
時計はすでに9時に近かった。
「ああ、眠りこけてたのか」
「これ飲みなよ。風邪薬だから」
そういうと水とカプセル状の薬を差し出してきた。
「さんきゅ。これじゃあ、ダウンしにきたみたいだね」
「いいんだよ、それで。
おれたちがいるからダウンしてもダイジョウブさ」
「あはは、確かにそうだ。
しかしエア・アジアで飛んできて、寝込みにきたのか、おれは」
「顔を合わせて、話ができただけでもいいじゃないか」
「マヌケだよなあ」
パイナップルを口に放り込みながら、たわいもないグチをつぶやく。
「夜中に腹が減るんじゃない?
なんかテイクアウトしてこようか?」
「ダイジョウブ、パイナップルはもうひとつあるし、
ホテルのルームサービスもあるから」
「ならいいけど」
「観光も街歩きもできないね、予定が変わってしまって悪いね」
「いいんだよ、観光はアナタのためだから。
地元を観光する物好きはいないだろ?
それにさほど案内する場所なんかないし、ははははは」
旅先で体調を崩すなんていつ以来だろう。
ツアコン時代は皆無といっていいぐらい、
あるとすればペルー・クスコの2度目の訪問で
みごと、高山病にヤラレたぐらいか。
あとはバックパック背負って、
アンダルシアを1週間、
その後、モロッコを3週間かけて巡ったときかな。
モロッコを離れ、マドリッドへ戻る帰路、
タンジェからフェリーでスペイン・アルへシラスの港に到着した。
宿を探そうと歩き出すと、
スイッチが入ったかのように全身を寒気が覆った。
スペインは寒いのか、と思ったが、そうではなく、
悪寒が走っていたのだ。
値段交渉や部屋の確認などはどうでもよくなり、
最初の宿で「風邪薬か熱の薬あるか」と聞くと、
即答で「ある」と答えてくれたので、その宿に決めた。、
カタコトのスペイン語で、
「熱」「熱い」「カラダ」「クスリ」と伝えると、
部屋でぶっ倒れ、その宿で2泊するハメに陥った。
目を覚ますと枕元に薬と水と果物が置いてあり、
それを口にして2日間寝続けた。
宿代も払っていない客、
素性もわからない客にその宿は優しかった。
タイの片田舎で熱を出しながらそんなことを思い出していた。
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