プロフェッショナル @Maeklong [Thailand (Maeklong)]
笑いをこらえるのが大変だった。
列車が通り過ぎたあと、市場は元の姿に戻り、
なにもなかったかのように客は店を巡り、
店は呼び込みの声を上げている。
狭い路地に大きなトラックでもやってきたかのようで、
通るならしょうがねえなあ、という体で店先を片付け、
通り過ぎたら元通り。
列車が通り抜けた気配など微塵も残っていなかった。
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通り過ぎた列車のことなど誰も気にしていないのが、
やけにおかしかった。
そそくさと店先の品物を片付け、
てきぱきと天幕を折りたたむ姿は手馴れていて、
その素振りはまるでマンガだ。
でも実際には手も触れん距離に列車は走り、
地面から列車を見上げていると、
野菜や生魚の数センチ上をテカイ車体が通り抜け、
車体が起こした風が生花を揺らし、果物を撫でていったのだ。
風変わりな光景に笑いがおさえられなかった。
市場の人と目を合わさないよう、
噴き出しそうな口元を押さえ、
そそくさと列車のあとを追うように歩いた。
市場を背にして左手、西の方角に列車は停まっていた。
そこは行き止まりの駅。
外国でよくあるタイプのスイッチ・バック形式の駅、
すなわちメークロンの駅だ。
この路線はバンコクから西へ伸びているタイ国鉄のローカル線、
「メークロン線」と呼ばれていることから、
ここが終着駅なのかもしれない。
プラット・ホームもない出入り自由の駅に歩みを進めた。
市場をすり抜けた車両は日本製、
ドアや車内には日本語の表示やプレートがそのまま残されていた。
気の早い客がもう席についている。
古ぼけた時刻表を時刻に合わせてなぞってみる。
さきほどの入線は13:30、
こいつがそのまま14:30に出発するらしい。
一時間待てばもう一度、コミカルなシーンを観られるじゃないか。
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