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Black Cab @LONDON [London (U.K.)]

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走っては早足、走っては早足を繰り返す。

時折、地図と時計をにらんでは目指している方向と距離、
残りの時間を頭の中で計算する。

どうやらこのままでは約束の時間に間に合わなそうだ。

写真に熱中しすぎたか。
ミサの終わりまでは待ち過ぎだったか。
時計は進むばかりで、戻ってはくれない。
足は午前中に歩き過ぎたせいで、走り続ける筋力がない。

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悔やんでいても迷っていても仕方がない。
タクシーを拾おうと、振り返りながら、足を進めた。
大きな通りを選んで戻っていたのはこのためなのだ。

最初からタクシーを拾わなかったのには事情がある。

キャッシュを持っていないのだ。
午前中に写真を撮って歩くだけ、とわかっていたのでポンドは使い切っていた。
コーヒー代だけ残っていれば、問題ないだろうと、
昨夜、残った現金はスーパーで土産に化けていた。

手持ちはコインだけの7ポンド。

さっきの教会からはどう考えてもタクシー代には足りない。
少し歩いてから、クルマを拾うか、と思い、
さらに、むだに、よけいに時間を食ってしまった。
考えてみれば、キャブでもカードが使えるのだ。

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振り返りながら、タクシーを探す。

こういうときに限って、流しのタクシーがこない。
すばらしき「マーフィーの法則」。

やっと来た運転手に声をかける。
乗る前に助手席の小窓から行き先を告げるのがロンドン・スタイル。

「ハイストリート・ケンジントン駅に近い
コープソン・タラ・ホテルに行ってほしいんだ」

どこの国でもタクシー・ドライバーは主要ホテルは把握しているが、
こういう場合はホテル名だけでなく、地名や駅名を一緒に告げるのがコツ。
似たような名前の違うホテルに連れて行かれる予防策だ。

「OK」

「でも7ポンドしかないんだ、それでもいいかな?」

「それじゃあ、他を探してくれ」

一台目は素っ気なく、走り去った。

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続けてやってきたキャブを停め、同じように告げた。

「金額的にはギリギリかな。まあ、乗りなよ」

「もし足りなかったら、そこで降ろしてもらってかまわないから」

飛び込んだ座席からそう告げた。

「わかったよ。メーターとにらめっこだな」

「急いでいるんだ、お願いします」

「OK。観光客かい?待ち合わせの時間?」

「そう、約束の時間があるんだ」

「友達と会って、これから観光にでも出向くのかい?」

「いや、空港に行かなきゃならないんだ」

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「それは時間厳守だな。空港には友達でも迎えに行くのかい?」

「いや、出発なんだ」

「へえ、誰かの見送り?」

「いや、自分が東京に飛ぶんだ」

「え。あんたが?それじゃあ、急がなきゃダメじゃないか」

「そうなんだ。お願いします。あと10分で空港に向かうんです」

それを聞くと、キャブは混雑する大きな通りから路地に飛び込んだ。


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北海道大好き人間

私が海外旅行へ行かない理由がまさにこれです(献血もしているので弾かれるということもありますが)。
言葉が通じない異国の地でこういうことになったら大変ですからね。

国内でも、飛行機や特急等の交通機関を利用する場合、出発時刻の1時間前に空港や駅へ到着する様に逆算して行動します。
前に、地方で駅から空港に行くバスを1本早くしたら、本来搭乗予定だった便の前の便にも間に合ってしまい、搭乗変更して早く帰ってきたことがあります(笑い)。
主要空港ならともかく、地方空港で次の便まで待つとなると時間つぶしが大変ですから。
by 北海道大好き人間 (2009-08-31 20:23) 

delfin

>北海道大好き人間さん

前回のソウルからの帰国便がこれでした。
まだブログに刻んでないですが、
一本はやい便で帰国!でした。
by delfin (2009-09-04 16:25) 

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