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第十二夜 -香江- @Hue [Vietnam]

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繰り返し、午後の街を巡る。

『古都』と銘打たれたこの街だが、復興された王宮の跡地以外、とくに観るものもない。
普通の街並に自転車を走らせ、普通の風景、普通の生活を眺めながらペダルを踏み続けた。

街の中心に『香江』という名の河が流れ、新市街と旧市街に街を分けている。
王宮がある旧市街は碁盤の目のように道が張り巡らされている。
車両の立ち入りが制限されている区域もあり、細くて狭い路地はかつての反映を思い出させる。
近代的なホテルや企業が入ったオフィスビルが林立している新市街が現在の生活の中心だ。
表情の違う街が河を隔てて、この時代を生きている。

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河の両岸に大きな通りが沿い、どちらの道も幅いっぱいのクルマで充たされている。
少しでも隙間があれば、バイクが次々とその間を埋めていく。
静かな海辺の街を巡ってきたので久々に喧騒との再開。
排気音とクラクションがヴェトナムらしさを思い出させてくれる。

自転車をこぎながらもまとわりついてくる暑さもヴェトナムらしさ。
考えてみれば、海沿いの小さな町々はさわやかで、確かにヴェトナムらしさには欠けていた。
にぎやかな騒音に洗われながらも、快適な「プチ・ホームステイ先」を見つけていたので気分的にはリラックスしている。
ホイアンからのバス旅の疲れもなく、フエの滞在が楽しみになっていた。

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一人旅の難点のひとつに「宿を見つける」というのがある。
「節約旅行」であれば、$1、あるいは一食分ほども違う宿代を尋ねて歩き回る。
「お湯のシャワー」か「エアコン付」か「朝食あり」などの細かい条件と宿代を天秤にかけながら、捜し歩く。
ツアーで使うようなホテルでない安宿のすべてに「エアコン」はなく、
「水だけのシャワー」が普通だったり、安ければ安いほど「共同部屋」だ。

実際、スペイン・アンダルシアの安宿はドミトリーで最安値は¥1500ほど。
そのほとんどは「水シャワー」で、土地、気候からそれがあたりまえのようだった。

それぞれの好みや都合に合わせ、妥協できた宿に荷物を下ろすのだが、
好みや予算に合わなければ、重い荷物を背負って、宿探しは続く。
着いたばかりの知らない街を地図もなく歩くことがホトンドで、
暑い季節ともなれば悪い条件はいくらでも重なって、背中の荷物はドンドンと重くなってくれる。
足は鈍り、疲労はたまる一方だ。

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ホイアンで会ったオージー夫婦との話しを思い出していた。

「わたしたちは新しい町につくと、彼女が荷物を見張って、わたしが歩き回って宿を探すんですよ。
その間、彼女は荷物を見張って、カフェでお茶でも飲んで待ってます」

「それはいいアイデア、というか、すばらしいコンビネーションですね」

「重い荷物を持って歩かなくていいので、わたしも楽なんですよ。
それに部屋のチェックはわたしのほうがうまいんです。
前に交代で宿探しをしたら、彼女は毎回ハズレを引いてくるんで、彼女自身が自覚したようで」

「シャワーから、ベッドまでこの人のほうがチェックがキビシイんですよ。
わたしは何軒も見ているうちにどうでもよくなっちゃうみたい」

「自分で決めた安宿なのに、シャワーが水しかでない! って怒り出したこともあったね」

「宿探しは一人だと大変ですよ、ハイシーズンともなれば、満室、満室・・・ と続きますしね。
値段を聞いて、荷物降ろして、部屋を見せてもらって ・・・ って繰り返しでホント疲れます」

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「一人旅だと大変でしょうね。コツはありますか?」

「まずガイドブックに載っている宿は最初に埋まるので、早い時間帯以外は行きません。
特に日本人はガイドブック掲載の宿に集中する傾向があるので。
あとは一眼レフを抱えているので、なるべくシングルを取ります。
安いドミトリーから埋まっていくので、あまりハズレがないかな」

「なるほど。日本の人なりの苦労があるんですねえ」

「一番は今のようなオフシーズンに旅することですよ。
そうすればこのホテルみたいな出物に出会えますね」

「確かに!ここのホテルはアタリです。安宿とは思えない!わたしたちは幸運です!」

ロビーに響いた笑い声を思い出しながら、自転車を進めた。


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コメント 2

斗夢

(失礼はお許しいただいて)
五木寛之と沢木耕太郎を思い浮かべながら
読ませていただいております。
by 斗夢 (2008-11-23 20:45) 

delfin

>斗夢さん
「失礼」だなんて、巨匠に重ね合わせていただけて、光栄です!
励みにがんばって更新してまいります!
by delfin (2008-11-24 10:35) 

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