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第十一夜 -店内- @Hoi An [Vietnam]

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小さな家屋の小さなお店、あるいは小さな食堂に郷愁を感じる。

保全された歴史地区は小さな木造の建物が多く、古き日本を感じさせる。
何百年も建ち続けている木造建築が観光地にありがちな土産物屋さえも情感を漂わせている。
そんなことを感じるのは日本人だからだろうか。

夜になるとその情感はさらに色濃くなった。

暑さに負けて、あまりひと気のない昼間と比べ、過ごしやすい夕刻になると人影が増え始める。
陽が落ちて闇が涼しさを引き連れてくると、それに誘われるように人の数も増した。
そのほとんどが地元の人だ。

夕食をとるため、歴史を感じさせる民家を改造して営業している食堂に入った。
「食堂」と形容するには失礼なほどキレイな内装と整えられた店内。
数百年を経た木造建築を生かし、美しく生まれ変わっている。
そのサイズは「レストラン」と称するには小さい。
ヨーロッパの言葉を借りれば「ビストロ」「タベルナ」「バール」といった感じの佇まい。

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ホイアンの名物は「カウ・ラウ(Cao Lau)」(写真)。

シルクロードの交流点でもあったこの町、多くのヨーロッパ人だけでなく、
日本人も来航し、一時は1000人以上の日本人が住み、日本人街も造られていたという。
町のシンボルでもある来遠橋は「日本橋」と呼ばれ、その名を今も残している。
町の中心に日本人が造った屋根つきの橋だ。

名物カウ・ラウも発案は日本人だとか。
この地で落命した日本人がうどんを懐かしみ、作らせたとも言われている。
まあ、この手の話しはそれぞれの国に都合よく変遷されていることが多いので、話半分に受け取っておくが。

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よく語られる「世界三大料理」とか「三大XX」ってやつはホトンド世界では話題にもなってない。
日本人はよほど「3」という数字が好きなようで、なんでもこの公式に当てはめたがる。
「小便小僧」や「ハイジ」のエピソードなんて、地元の人はほとんど知らず、
こぞって記念撮影する日本人の行列に「なんでここで写真をとるのか?」なんて聞かれたことまであった。

背景にある話を学ぶことも重要だろうが、盲目的に飲み込んでしまうのはどうだろう。
自分の目で見ること、自分の肌で感じるために旅しているのに。

「三大話」じゃないが、どこの国の人にもウケるジョーク、というのがある。
よく使ったのは「日本人の嫁をもらい、中国人のコックを雇い、アメリカの家に住むのが最高の幸福」ってやつ。
それぞれの国の美点を誉めたものだが、これにはオチがあって、「ひとつズレると大変」。

「日本の家に住んで、中国人の嫁をもらい、アメリカ人のコックを雇うのはこの世の地獄」
説明はしませんよん。

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静かな店内には誰も人がいなかった。

客どころか、店員も・・・。

昼飯は少し早い時間に「コム・ガー(Com Ga)」を食べた。
ヴェトナム語でコム=ご飯、ガーは鶏肉、あの「チキン・ライス」と同じなのか?
ホイアン各所にこの文字が躍っていたのが気になり、露店に腰を下ろした。

蒸した鶏肉を鶏肉のスープで炊いたご飯に乗せて食べる「チキン・ライス」はマレー・オリジナル。
暮らしていたシンガポールでもポピュラーな料理で、これをイメージして食べたのだが、盛りが少なかったのだ。
現地の人はやはり少食?それとも自分がただの大食い? そんな量だった。
コム・ガー10,000ドン、手羽先を追加して5,000ドン。
味はマレーシアともシンガポールとも近くなく、遠くなく、普通の鶏飯でございました。

早い昼飯のせいで日没直後の夕方には腹が減ってしまい、雰囲気のあるこの店に入った。

「おーい」と大きな声の日本語で呼びかけると、家の奥のほうから、小走りで女性が現れた。

「早かった?まだ営業前?」

「OK、OK、メニューはコレ」と手際よく、メニューとお茶を出してくれた。

「カウ・ラウを1つ」

「OK」
そういうと小走りで奥に消えた。

ドンブリというには小さく、茶碗というには大きい器に盛られたカウ・ラウは、
うどんには程遠く、ヴェトナムの香りがする料理だった。
量はやはり少なめ。
早々に食べ終わったが、店の人がお茶を入れ直してくれた。

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「ゆっくりどうぞ」

追い立てられることもなく、食べ終わった店内でまた一人。
手持ち無沙汰であったもののゆっくり写真を撮ったり、店先のおじいちゃんとお孫さんに話し掛けてみたり、フシギな時間。
お茶を飲み干すと店の人はまた新しく入れてくれる。
オフシーズンだからなのか、町の真ん中、名物を供する有名な店で思わず長居した。

店内から通りを行き来する観光客を眺め、夜が過ぎていく。



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quartier

うらびれて見えるときと郷愁を感じるときと、旅人の心次第でしょうか。
by quartier (2008-11-14 12:47) 

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