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Short Trip @Roca -Day12- [Portugal]

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西果ての海に陽が沈むと、風はさらに冷やされ、冷たさを増した。

風に吹かれながら日が沈む方角を眺めていた人たちも
家路を辿るべく、岸壁を離れていく。

ユーラシアの西端に到着し、旅の目的を終えてしまった。

あとの日程は惰性の日々か、あるいはおまけの旅か。
メイン・ディッシュを終えてしまった旅にあとはなにが残るのだろう。
豊潤なデザートに出会うことがあるのだろうか。

バス停に戻るとカップルがバスを待っていた。

「次のバス、知ってる?」

「もうすぐだと思うよ」

「ありがとう」

「そうだ、写真を撮ってくれないかな」

「いいよ、お安い御用だ」

カメラを受け取り、カップルを撮影。
記念撮影は添乗員時代から手馴れたもの。
デジカメ時代になって、構図を気にせず、多めに撮れるのは救いだ。

「ありがとう、あなたはどこから?」

「日本です、行ったことありますか?」

「ないけど、すごく興味があるよ。今、人気も高いしね」

「あなたたちは?」

「僕はオーストリー、カノジョはスペイン。行ったことある?」

「ええ。旅行関連の仕事をしていたので、どちらも何度も」

冷たい風の中、世間話が続く。

「オーストリーとスペインで、二人でポルトガル旅行?」

「そうなんだ」

「うらやましい、二人での旅はいいね」

すっかり暗くなったバス停でカップルが仲睦まじく微笑みあう。
闇の彼方からヘッドライトが向かってきた。

「いい旅を」

お互い、そう言い合うとバスに乗り込んだ。
座席に身を沈めると、見知らぬ人との会話が、
目的達成の焦燥感を少し和ませてくれていたことに気づいた。

やって来たバスはうまい具合にカスカイス行きだった。

バスはシントラ~ロカ岬~カスカイスというルートを1時間ほどで行き来している。
昼間歩いたシントラに戻るのは興ざめだったし、
違う町で夕食を摂って、リスボンに戻るほうが一興に思えた。

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明かりの少ない田舎町から30分ほどで街灯やクルマのライトがきらめく場所に到着した。
バスは大きなバス・ターミナルに入り込む。
ここがカスカイス、どうやら終点のようだ。

慌てて運転手を捕まえ、鉄道駅の場所を尋ねる。
右も左もわからず、地図も持たない状態では誰かが頼り。
ドライバーが指す方向にはバスを降りた客が流れて向かっていた。

バス・ターミナルは大きなショッピング・モールの1階のようだ。
振り返るとガラス張りのショーウィンドウがきらめく。

海辺のリゾートでもあるカスカイスの街は思ったよりもにぎやかだった。
バスターミナルの隣には大きな駐車場、大きなレストラン街、大きなスーパー、大きな・・・

「!」

見つけた!
巨大なスーパー・マーケット。

そうだ!
電源プラグを買わなくては。
カメラを充電しなくては。

旅はまだ終わらないのだ。

電源プラグを探す旅が?!?!


写真1;夜のリスボン。23時頃、最終の路面電車。
写真2;夜のにわか雨が石畳を濡らした。


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