Gas @Obidos -Day10- [Portugal]
小さなオビドスの城内を歩き回り、
ライトアップされて、きれいな色を醸し出している城壁の写真を撮りまくる。
気が付けば観光客はいなくなり、
城内は数少ない地元の人と食事を楽しむ客だけの静かな情景になっていた。
夕食を済ませ、朝食用のパンとトマトを買い、宿に戻る。
玄関のカギを開けながら、借りたのが丸々一軒家であったことに気がついた。
「貸切って言ってたけど、一軒家丸ごとかよ」
ちょっと可笑しくなって口に出して言っていた。
暖かかったナザレの海岸とは異なり、山あいのオビドスは日が落ちるとかなり冷え込む。
それでも城郭の中をくまなく歩き回ったせいで、カラダは汗ばんでいた。
ゆっくり風呂にでも入るかと、大き目のバスタブにお湯を出す。
ところがいつまでたっても、水が出るばかり。
ドコをどうひねっても出てくるのは冷たい水だけだった。
慌てて脱ぎ捨てた服を着て、表の土産屋に向かったが、土産屋はとっくに閉まっていた。
ダメモトでドアとガラス窓を叩くと、階上からニイチャンが顔を出した。
「どうしたんだ?」
「お湯が出ないんだ」
「お湯?」
「シャワーのお湯だよ」
「今、降りていくよ」
土産屋のニイチャンと二人で、冷たいバスルームに戻る。
「あれ?水だけだね。これはガスかな?」
物置のカギを開け、プロパンガスを確かめる。
「ボンベが空だ」
おいおい・・・
まさか替えのボンベがない、なんてオチはないだろうなあ…
気づくと土産屋のオヤジサンもやってきて、二人でアレヤコレヤとやりはじめた。
どうにかボンベは差し替えたが、今度はガスが出ない。
ガスは出だしたけど、今度は湯沸し器に点火しない・・・
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小一時間が経過して、ようやくシャワーから熱湯が吹き出し、湯船に湯気が立ちこめた。
お互い、笑い合う。
礼を言いながら、我が家(笑)から彼らを見送る。
「これで凍え死ななくてすむね!」
土産屋の二階から事の成り行きを眺めていたオバチャンの声が響いた。
ひと気のない世界遺産の夜だ。
写真1;城郭内のレストラン、冷えるのに外の席が人気。
写真2;30€で借りたのは一軒家。どうりでキッチンもバスも広いわけで。
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